祐一の決断
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分からんからな。
十分もしないうちに空から紙が手渡される。
「とりあえず、今はこれくらい、かな?」
手渡された紙を見ると思いのほか少なかった。こんなもんなのか?
「こんな少なくていいのか?」
「はい、あまり物を置くと狭くなっちゃいますし」
「それもそうか」
とりあえず、澤田に買ってきてもらうために電話をかける。
「…ああ、澤田か?」
「瀬川!法事はもう済んだのか?」
「ああ、金は後で払うから今から言うものを買ってきてくれ」
「習字道具か?」
「違う。生活用具だ」
「は?生活用具?」
紙にリストアップしてあるものを読み上げていく。
「なんでそんなに、てか布団三つもそろえてどうするんだよ?」
「いろいろあってな。子供を三人引き取ることになった」
「はあ!?子供!?お前子供嫌いだろ!?」
「だからいろいろ事情があったんだよ…」
ていうか声が大きいんだよお前は、と付け加えるのも忘れない。
澤田が家にやってきたのはそれから二時間後のことだった。
「来たぞ瀬川」
「荷物は?」
「車に積んである。運ぶの手伝え」
「はいはい」
澤田が家にやってきて空たちに軽く紹介した後、荷物の場所を聞く。まあ、手伝うことになるだろうとは思っていた。澤田は顔がちょっと怖く見えるので最初は空が距離を置いていた。
「あの、それなら私たちも手伝いますよ?」
「ああ、大丈夫大丈夫!俺と瀬川の二人で十分だよ」
と瀬川がおれをとっとと連れ出して行く。
「それよりお前、どうするんだ?」
「……」
間違いなく澤田が問いたいのは字のことだろう。
「なんとかする」
「なんとかするじゃないだろ…まあ、今までので貯金もあるだろうししばらくは大丈夫かもしれんが」
「……」
結局その後は会話が続かなかった。
☆★☆★
「よし」
その日の夜、空たちが寝た後で字を書いてみることにした。
「…ダメだな」
書いた字は適当に浮かんだ『極』だ。まあ、いくらかはよくなってきてるのが唯一の救いだと思おう。そう思い、その日はいくつか字を書いて就寝した。
翌朝…
「叔父さん!起きてください叔父さん!」
時刻は朝八時、俺は空に起こされた。
「なんだよ、まだ八時じゃねえか…」
そう言って寝ようとするがさらに空が声をかけてくる。
「私たち、ご飯どうすればいいですか?」
「…ああ、そうか」
昨日までとは違い、うちには空、美羽、ひなという三人の姉妹が住んでいるんだった。
「お前ら、いつも朝飯食ってんの?」
「叔父さんは食べてないんですか?」
その反応を見るに朝飯は食べているのだろう。一度面倒を見ると言った以上、そう言ったこ
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