暁 〜小説投稿サイト〜
打球は快音響かせて
高校2年
第二十四話 可能性
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一歩引いた所から見てないで、一緒に戦って下さい!」
「…………」

浅海は何も言えずに黙り込んでしまった。
宮園は少し言い過ぎたか、とも思ったが、一方で非常にスッキリとしていた。
ずっと言いたかったが、言えなかった事。
それを直接ぶつけられたから。

「失礼します」

頭をぺこりと下げて、宮園は自分の部屋に戻っていく。その場には、神妙な顔で立ち尽くす浅海だけが残った。

(……高校生を侮っていたわね。そう返されるとは思ってもみなかった。)

ベンチに腰かけ、ふぅと息をつく。
宮園の言うことも、ごもっともだった。
諦めるな、可能性を追え!
そう言う資格は自分には無いのかもしれない。
なぜなら、自分も諦めている。

野球は元々、かなり好きだった。
三龍の先生になって、野球部の顧問になった時は、女には絶対に立つ事ができない甲子園の舞台への可能性が出てきたと思って、胸がワクワクしたのを覚えている。3年前に前監督が退任した時は、自分が監督になれるのかと、淡い期待を持った。

しかし、その期待は結局かなわなかった。
浅海がすぐ「自分がやる!」と言わなかった為に、学校は甲子園経験者の乙黒を呼んで監督の座に据えたのだった。

どうしてそこでグズグズしてしまったかと言うと、やはり自分は女で、監督に名乗りを挙げた所で認められないかもと思ってしまったからだった。また「甲子園」という夢が、女だからという理由で潰されるのが怖かった。

(裏切られるのを怖がっている、という点では、私も宮園と同じね…)

プルルルーー

ちょうどその時、浅海のスマートフォンが着信音を立てた。



ーーーーーーーーーーーーーーー



「えぇ!?浅海を監督に!?」
「そうです。浅海先生に次の秋は指揮をとってもらいたいと思います。」

校長室に呼び出された乙黒と浅海に校長が告げたのは、野球部内の配置転換だった。
乙黒はショックを隠しきれない顔で、校長に食ってかかる。

「ちょっと待って下さい!確かに僕は結果を出せていませんけど、次のチームは期待できる代なんですよぉ!?それを女の浅海に任せろってそりゃ…」
「はて、男か女か、性別は関係あるのですかな?指導者としての力量に」
「うぐっ…」

穏やかな表情を一ミリたりとも崩さないままに校長にあしらわれ、乙黒は何も言えない。

「実はですね、先日の試合を見ておりました前監督が、同じく応援に来ておりました私に言ってくれた訳です。“あの流れで何も手を打たず、ベンチでオロオロしているだけなのはおかしい。エースと心中する事しか考えていない。それなら監督なんて必要ない”とね」
「」

真っ向から自分の監督としての働きを否定された乙黒は顔を引きつらせた。校長はそれを見
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