高校2年
第二十四話 可能性
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第二十四話
……話は遡り、三龍が海洋に敗れた次の日。
宮園は青野とデートしていた。
水面市内の中心部に出ると、デートできそうな場所はいくらでもある。都市はこういう所がいい。
……翼と葵なんかは、糞田舎にも関わらず海でイチャついているのだが。その時間を楽しいと思うかどうかは、やはり相手との関係によるのだろう。
(あーぁ)
そして心の中でため息をつく宮園は、けしてこの時間が楽しいと思えてはいなかった。無邪気な顔で、実に嬉しそうに話しかけてくる青野はそれなりに可愛くはあるが、しかしどうにも面倒臭さが先に来る。要するに、それほど好きではない。嫌いでもないから、一応惰性で付き合ってはいるが。割と自分に尽くしてくれているのは分かるし、それは嬉しくないわけではないが、何とも複雑な気持ちで、最低限怒らせない程度の反応をし続ける。
(……?)
ふと宮園は、視線を感じた。
隣の青野……のものではない、鋭さを感じる視線。背後を振り返るとそこには…
私服姿の浅海が居た。1人カフェのテラスでくつろぎながら、こちらを見ていた。
(……先生も今日は休みか)
宮園は小さく会釈して、その視線から逃れるようにそそくさとその場を離れていった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「……おかえり」
「こんばんは、先生」
宮園がデートから帰り、寮に帰って来ると、浅海に出迎えられた。先生の様子はいつもと変わりないが、自分が女とつるんでる様子を見られていたとなるとこれは中々に恥ずかしい。次からあのショッピングモールへは行けないな。宮園はそう思った。
「オフの息抜きは楽しかったか?」
「はい、それなりに」
「確かに、それなりという顔をしていたなぁ。デート中の男子高校生とは思えなかったよ」
やっぱり、その事に触れてくるか。
冷やかしてくるような浅海の調子に、宮園は閉口した。
「…なぁ宮園、君はどうにも冷めた所があるよなぁ。去年一年間授業で書いた作文を読んでも、野球部での様子を見ていてもそれは分かる。」
「……まぁ、これが性格なんで」
急に真面目な顔になった浅海を見て、宮園はあぁ、お説教かと身構える。戸惑う訳でもなく、冷静。浅海は話を続ける。
「そう言われてしまえばお終いなんだが…まだ君は高校生じゃぁないか。本当の世の中を知った訳でも無いのに、知ったげに周りを冷めた目で見るのはどうかと思うけどねぇ。」
ま、私もまだまだ若造だから世の中の事なんて分かっちゃいないんだけどね。そう言って浅海は笑う。
「なぁ、宮園。昨日の試合の八回、逆転された時だ。君は笑ったよな?どうしてだ?」
「はい?」
「笑っただろう。仕方がなさそうな顔をして」
よく見ているな。宮園
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