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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第335話】
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涙を溜めていた鈴音。
でもその表情は、泣いた後だからかスッキリとした印象を俺に与えた。
「……ひ、ヒルト? そ、そろそろ離してくれない……?」
「あ、ごめんごめん。 ほら」
身を預ける様にしていた鈴音を解放するが、何故か少し残念そうな表情を浮かべた鈴音。
「……? どうした?」
「な、何でもないわよ! ……ねぇ、ヒルト? あんたは……何か好きな中華料理でもあんの?」
唐突な質問に、軽く首を傾ける。
鈴音の質問に、色々な中華料理が頭に浮かぶ中――。
「……何を言ってもやっぱりチャーハンかな? 中華の基本中の基本、俺はあれが一番好きだ」
「そ、そうなんだ? ……じ、じゃあ……いつか作ってあげるね?」
ニッと笑顔でそう言う鈴音、まだ目は赤いが元気は出たように思えた。
「なら楽しみにしてるさ。 ……見た目悪くても、味は中々旨いからな、鈴音の料理」
「わ、悪かったわね。 どうせアタシは不器用よ!」
軽く頬を膨らませる鈴音――いつもの調子が戻ったようだ。
「ハハッ、見た目を気にする料理は基本フランス料理とかだけさ。 俺は美味しければ見た目はあまり気にしないしな」
「ふ、ふぅん……。 な、ならいいけどね?」
視線を逸らしながら答えた鈴音。
「さて、そろそろ遅いし……送ろうか、部屋まで」
「へ……? い、いいわよ! 一人で帰れるからっ!」
「気にするなって、ほら。 送っていくから」
そう言うと、観念したのか鈴音は小さく頷く。
「な、なら……よろしく」
「おぅ。 んじゃ、行こうぜ」
玄関を指差し、促すと小さく笑みを溢してドアを開ける鈴音。
そのまま俺と鈴音は部屋を出、鍵をかけると鈴音の部屋へと送り届けた。
……吹っ切れた後の彼女は饒舌で、色々な話題で飽きさせずに俺と話をしながら歩いていると、あっという間に部屋にたどり着いた。
「ん。 ありがとね、ヒルト? その……送ってくれて」
「気にするな、例え女尊男卑な世界でもこれぐらいはしないとな?」
「……へへっ。 じ、じゃあまた明日ね?」
「おう、また明日」
軽く手をひらひら振ると、鈴音は笑顔で返し、そのまま部屋へと入っていった。
……鈴音も女の子だから泣くんだよな……当たり前だけど。
通路の明かりが煌々と照らす――時間も時間だからか、通路で話し合う女子の姿は見えず、静寂が訪れていた――と。
「有坂くん? どうしたんですか、こんな時間に?」
声に反応し、振り向くとそこにはきょとんとした表情の山田先生が荷物を腕に抱いて立っていた
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