2ndA‘s編
外伝〜If/ライがもしサーヴァントとして現界したら〜
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ろうに」
「……」
バーサーカーの言葉に俯く彼女の表情は、バーサーカーの方からも見えなくなっていた。
しかし先ほどとは違い、たしかにその場所に存在しているのは濃密な殺気と魔力。だが、そんなものは関係ないと言わんばかりに彼は言葉を吐き出す。
「とんだシンデレラコンプレックスだ。誰かに助けてもらえるのを望んでおきながら、自分は弱く、誰にも嫌われないようにするために良い子を演じ続け、そしてその結果衛宮士郎と言う王子に自分の本当の姿を晒すこともできなくなったのだから。たった一言救いを求める言葉を吐いていれば、君が願った通りの展開になったろうに」
「…………い……」
「『あの人が傷つくのなら自分が傷つく方がいい』と言う綺麗事を言い訳に、自分が一番辛い選択をしておきながらそれでも救いを望んでいた。自分が傷つくことを選べるのであればどうして反抗しようとしなかった?」
「………さいッ……」
「今君がしているのは八つ当たりだ。自分が酷い目にあったことを理由に全てを壊そうとする。そんなのはこどもの癇癪と同じだ」
「うるさいッ!!」
叫ぶ声と共にバーサーカーは吹き飛ばされる。近くの洞窟の壁に叩きつけられるまでその体が木の葉のように舞った。
「何も知らないくせにッ!!私を助けもしてくれないくせにッ!!」
涙を流しながら彼女は叫ぶ。
それは彼女の想いであり、訴えであり、そして願いであった。
バーサーカーは壁に叩きつけられ、その端整な容姿を土埃で汚しながらも彼女と向き合い続ける。
「先ほど“自分”を流し込んできたのは君だろう。それと間違っているぞ」
彼の否定的な言葉に反射的に声を荒げそうになるが、その言葉はハッキリと彼女の耳に届く。
「君を――間桐桜を救うのは僕じゃない。その少女を救うのは、彼女が想い続けた人たちだ」
その言葉に示し合わせたように、その空間に足を踏み入れた二人は彼女の夢であり、希望。
一人は彼女にとって憧れた女性であり、一人は彼女が愛した正義の味方であった。
〜終幕〜
目の前に広がるのは極大の呪いの源。
背後に立つのは、聖杯としての機能が万全ではないために命をつなぎとめる事ができたマスターであるイリヤスフィール。
満身創痍といってもいいその身体を動かし、彼は告げる。
「ライ・ズィ・ブリタニアが自らに命ずる。<この世全ての悪/アンリ・マユ>を飲み干し、打ち勝て」
令呪を超える一度だけのブースト。
バーサーカーの持つ宝具<ギアス/絶対遵守の力>。
それを行使することでバーサーカー――――ライはこの戦争の幕引きを告げた。
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