2ndA‘s編
外伝〜If/ライがもしサーヴァントとして現界したら〜
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広いその空間にバーサーカーは立っていた。しかし、その姿には力強さとは程遠い弱々しさがにじみ出ている。ふらつく事は無いが、その姿はサーヴァントであるのが疑問に感じてしまう程であった。
彼は今その体を黒い何かに縛られた状態で、地に膝をついていた。
そしてそんな彼を見下ろす存在が一人。
その少女は塗りつぶすような黒を纏い、儚げな白い髪と血のように赤い瞳を携えた少女。
彼女は第四次聖杯戦争の小聖杯のかけらを埋め込まれたことで、大聖杯の中身であり極大の呪いである<この世全ての悪/アンリ・マユ>の力を取り込んだ間桐桜であった。
「……」
「怖い顔でこちらを睨んで……なんのつもりですか、イレギュラーさん?あんまり生意気だと食べちゃいますよ♪」
可愛らしく聞こえるその言葉には、紛れもない狂気が含まれていた。そこまでに至ったのが齢二十にも満たない少女であることにバーサーカーは戦慄と共に悲しみを覚える。
「怖い顔をしたと思ったら今度は同情をするような目をして……私のことを知りもしない肉の塊のくせに生意気ですよ」
そう言うと彼女はいたずらを思いついた子供の様に笑みを浮かべ、バーサーカーの額に手を置き“ソレ”を流し込んできた。
「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ッッッ!!!!!!!!!」
吐き気を催す光景と感触と感情がバーサーカーの思考を貪り、食い散らしていく。
流し込まれた“ソレ”が彼女の――間桐桜の記憶であることを彼は頭で理解するのではなく、文字通り実感した。
「ハァッハァッハァッ!?」
「ウフフ、そんなに喜がるなんて、気持ちよかったですか?」
ゾッとするほど蠱惑的な笑みを浮かべ、彼女はそう問いかけてくる。
しかし、そんな彼女に対してバーサーカーは先ほどと同じく睨み返してくる。その反応に彼女は些か不満げな顔をしたが、それに対して彼女が文句を言うよりもバーサーカーが口を開く方が早かった。
「何故諦めた、間桐桜?」
「……は?」
「何故、虐げられることを受け入れ、飲み込み、諦めたのかと聞いた」
意味が理解できなかった問いかけを頭が理解すると同時に、彼女の思考は表情と共に冷え込んだ。
「見て、体感したおバカな貴方でも理解できたでしょう?私はそれすら許されなかった」
「いや、それは言い訳だ」
彼女の言葉を即座に切って捨てるバーサーカーに桜は一瞬思考が真っ白になる。
「君は自分が優しくて、弱くないと誰も自分を見てくれない、助けてくれないと勘違いし、それを考えないようにしていた。少なくとも魔術師としての才能に向き合っていれば、間桐慎二に虐待を受けることはなかった
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