2ndA‘s編
外伝〜If/ライがもしサーヴァントとして現界したら〜
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バーはカチンとくる。しかし問いただそうとする前に言葉と怒りを織り交ぜた洪水がセイバーを襲う。
「貴様は今、過去の自分を否定するどころか自らの部下を、仲間を侮辱した!」
「な!?その言葉こそ侮辱だ!私は――」
「過去に貴様の――王としての貴様に全てを掛けてでも尽くそうとした人の存在を!誇りを!尊厳を!それらを踏みにじった!」
セイバーはこの時、怒りではなく戸惑いを覚える。怒りが無いわけではない。しかしそれ以上に自分がバーサーカーの怒りの琴線にどうして触れたのかが理解出来なかったのだ。
戸惑うセイバーに不満をぶちまけるようにバーサーカーは言葉を続ける。
「貴様が統治した国が滅びていたとしても、その瞬間まで貴様を最後まで信じ抜いた人々はいたはずだ」
セイバーの脳裏に一瞬、エクスカリバーの返還を命じた騎士の姿が過ぎる。
「その人々が信じたのは貴女が王だからではない、王が貴女だったからだろう?その人たちの願いは、気持ちは、想いはどうなるのだ?」
その言葉はバーサーカーの怒りではなく、悲しみと懇願するような願いが込められていた。
それを察したセイバーの直感がある予測を閃かせる。
「バーサーカー……貴様も……いや貴公も…………」
「…………」
熱くなった頭が冷えたのか、バーサーカーは背中を向けることで視線を逸らしながらも言葉を続けた。
「国を想う気持ちは間違っていない。だけど、それを覆そうとするのは君の自己満足だ。そこに“誰かの為”なんて他人を言い訳に使うのは卑怯だ」
「……」
「それに貴女の仲間はより良き明日のためにその時、その一瞬を生きていた筈だ。なのに貴女はそれをなかったことにし、そして明日ではなく過去の為に戦うのか?」
バーサーカーはその言葉を残し、その場を去る。サーヴァントとしての重圧はそれにより無くなったが、衛宮士郎とセイバーの中には彼の問いかけがしっかりと残ることとなる。
〜世界から見捨てられた者〜
ある少女がいた。
魔術という才能に秀でただけのただの女の子。
彼女には姉がいた。寂しがり屋な彼女とは違い、強くて優雅であろうとするそんな姉。
幼い頃は憧れた。しかしそれは時が経つにつれ、妬みとなり、そして憎しみへと生まれ変わる。
ただの平穏な幸せを歩めた筈の少女は、生まれた家とその秀でてしまった才能により墜とされていく。
大人の勝手な都合の道具にされていく。
最後に彼女は自分が世界に見捨てられたのだと悟り、そして<この世全ての悪/アンリ・マユ>と共感してしまい、自分が憧れたものも、慈しんだものも、憎んだものも分け隔てなく飲み込もうとした。
柳洞寺・地下空洞・大聖杯前
暗く、
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