2ndA‘s編
外伝〜If/ライがもしサーヴァントとして現界したら〜
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ーサーカー。望めるのであればこのまま問題が起こることなく事態が進む事を祈る彼であったが、それを嘲笑うように彼女の周りを囲むように野犬の群れが現れた。
白銀の世界の獣達は目の前に現れた獲物を逃す程甘くない。油断せず、群れで徐々にイリヤに対して近づいてくる野犬。それを見ていたバーサーカーは舌打ちしたいのを堪え、即座にイリヤの逃走のための方法を考え、パスによる会話で支持を出そうと考え始める。
しかしそれを実行に移す前に逆にイリヤの方からバーサーカーに向けて念話が届く。
(バーサーカー、こいつらを排除して)
(マスター?!それでは君が――)
(マスターの言うことが聞けないの?)
バーサーカーの気遣いを突っぱねる彼女。未だに迷う自らの使い魔に対し彼女は告げた。
「バーサーカー、その行動を持ってして私に誓いを立てなさい」
耳に届いた言葉は力強く、そしてどこまでも透き通っていた。その言葉でバーサーカーは覚悟を決めた。
雪で埋もれたその空間に染みのように朱色が混じる。その命を表す染みは点在し、それが意味するのは幾つかの命が消えたという事実だけ。
その点在する染みの中心には2人の人影。片方は奪った命で服を汚す、銀の青年。そしてもう1人は自らの命で朱に染まった銀の少女。似た色を連想させる2人が並ぶとどこか幻想的な光景に見えるが、今は辺りに散らばる肉片と赤色がそれを損なっている。
かなりの身長差がある2人は向かい合うように立っている。青年は悲しみや遣る瀬無さを滲ませた蒼い瞳を少女に向ける。そして少女はその美しい赤き瞳に純真さを乗せ青年を見つめていた。
「バーサーカーは強いね」
無表情で紡がれるその言葉に青年は顔を顰める。しかし次に発した少女の言葉に彼は驚く。
「でもそれ以上に優しいね」
泣きそうになった。彼女が無邪気に浮かべた笑顔とその言葉に、彼はこみ上げてくる感情を必死に隠そうとする。
サーヴァントとしてマスターに情けない姿を見せたくない彼は、膝を付き彼女の視線に合わせる様にした後、彼女をしっかりと抱きしめる。
抱きしめたその小さな体から感じる確かな命の暖かさにまた彼は泣きそうになるが、今はその命を救えた事、今度は決して目的の為にその命を犠牲にしないことを彼は自分自身に誓った。
手放さないように抱きしめていた彼の頭を少女はゆっくりと優しく撫でる。そして母親が子供をあやす様に彼女は呟いた。
「泣き虫だけど、イリヤがいてあげるから大丈夫。バーサーカーは私を守ってくれるから私はバーサーカーを守ってあげる」
パスを通じて青年の気持ちが伝わったのか、彼女はその言葉を口にする。そして最後に堂々と彼にこう告げた。
「だって、イリヤはマスターだから」
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