2ndA‘s編
第六話〜交渉の入口〜
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て一歩踏み出したところでその動きを止めた。
「……その物騒なもの下げてくれません?」
「貴方は何者かしら?」
ライの声に返ってくるのは質問と首に突きつけられた槍のようなデバイスの先端。
「一般人ですよ。襲われそうな人がいたので横槍を入れただけです」
白々しい言葉を吐いていると言う自覚をしつつ、背中に感じていた重みが感覚的に軽くなる。背負った本人が意識的に姿勢を整えた結果である。
「私をどうする気だったのかしら?」
「別にどうもするつもりはありませんよ。上で戦っているどちらかに引き渡します」
お互いに顔を合わせずに話している奇妙な状況。更に言えば、背負われている人間が背負っている人間に武器を突きつけているのも、その奇妙さに拍車をかけていた。
「これって正当防衛成立します?」
「私を誘拐しようとした貴方に武器を向けていることなら成立するわ」
「さっき引き渡すって言ったのに」とか、「今背中でいい笑顔しているんだろうな〜」とか考えながらライは思考を働かせていく。
「……非現実的な事が起きているのに冷静なのね?」
「背負っていた女性がどこからともなく取り出した槍を、自分の首に突きつけていることですか?」
ちょっとした意趣返しに背中で身体を強ばらせるのを感じるライ。
(人を傷つけるのに慣れていないのか)
漠然とそんなことを考えながら、どうしたものかと考え始める。
「……名前は?」
「ライ・ランペルージ」
「外国人……いえ、異世界人かしら?」
「……なんのことです?」
できるだけ自然に。そしてどこまでも混乱したように声を出す。
「理解できない」と言う態度をできるだけ自然に装うライの姿は、本当にただの一般人で背中にいる女性を混乱させた。
「……あの?」
「……何かしら?」
「そちらの名前は?」
「……リンディ・ハラオウン」
(ハラオウン?)
聞き覚えのある名前に思考が集中する。
背負っている女性、リンディの名前から彼女がフェイトの親類縁者であることを予測したライはこの女性が管理局員であることも察した。
正直に言ってしまえば、ここで管理局とことを構えるのはうまくない。ライはあくまで個人であるため、どれだけ頑張っても組織ぐるみの妨害をされると後手に回らざるを得ないのである。
その為、ここはできるだけ穏便に済ませようとするために、譲歩の形をとろうと妥協する。
「では、リンディさん。僕はどうするべきですか?」
「え?」
「この非現実的で、非日常的で、非常識的な状況の中で僕はどうするべきですか?」
「……私たちに事情を話してもらいます」
彼女が「私たち」と言った
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