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真犯人
第五章
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「統一されるのかも」
「そうなればフィレンツェは」
「何、繁栄は維持されますので」
「メディチ家の方々はどうなるでしょうか」
「さて。私にとっては大したことではないので」 
 実はマキャベリは共和主義者だ、だからメディチ家の主には個人的には敬意を抱いていても代々街の主になっているメディチ家には否定的なのだ。だからこの家のことについてはこう言えたのである。
「どうとでも」
「それよりもイタリアですか」
「はい、この半島がどうなるかです」
 それが大事だというのだ、彼にとっては。
「統一され中が収まり」
「そしてですか」
「外に充分対することが出来る様になることを期待します」
 こう言うのだった、マキャベリはむしろこれでいいと思っていた。
 しかしだった、殆どの者がこのことに戦慄と恐怖を覚えていた、その前に。
 イタリアの者達は密かにだ、こう囁き合っていた。
「ガンディア公を暗殺して誰が一番利を得るかだな」
「そうだな、そしてだ」
「ガンディア公を暗殺してもだ」
「彼を溺愛する教皇の怒りから身をかわせるのは誰か」
「見付かろうとも身の安全を保てるのはな」
「利を得られてかつ絶対に生きられる」
「それは誰か」
 そう考えていったのだ、戦慄と恐怖を覚える前に。
「答えは一つだ」
「一つしかない」
「まして教皇の態度はな」
 誰に対する態度なのかだ、彼等はあえて本能的に察して言わなかった。その身に危険が来るのを感じてだ。
「見なかった」
「暫くの間な」
「それならだな」
「本当に答えは一つしかない」
「真犯人は一人だ」
「一人しかいない」
「有り得ない」
 彼以外にはとだ、やはりそこは言われなかった。皆行間に本当に言いたいことを隠して話していくのだった。
「絶対にな」
「しかしこのことを言うとな」
「ああ、まずいぞ」
「特にローマではな」
 その街では、というのだ。
「何処にも目が光っている」
「耳が聴いている」
「イタリアならば何処でもだが」
「ローマはな」
「特にだからな」
 それ故にだというのだ。
「言うべきじゃない」
「ここは気をつけよう」
「命あっての物種だからな」
「何ごともな」
 こう話して口をつぐむ、そして。
 各国の、イタリアにある国以外の諸国の外交官や諜報員達もだ、祖国に対してこう報告するのだった。
「この事件についての真犯人は絶対に明らかにはなりません」
 それは何故かというと。
「見付かるにはあまりにも大物であるが為に」
 だからだというのだ、このガンディア公暗殺事件については今も真犯人ははっきりとはしていない。だがそれでもだった。
 後世の歴史家の殆どはこう言う、この事件について。
「あの事件の真犯人は彼の兄だ」
「ヴァレンテ
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