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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
天使炎上篇
15.天使炎上
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狼”の一撃が霊的進化術式を消し去った。
「な……!?」
魔術の呪縛から解き放たれた夏音が、本来の背中から三対六枚の翼が抜け落ちた。眼球の形をした霊的中枢が、制御を失って暴走する。
「──喰い尽くせ、“
龍蛇の水銀
(
アル・メイサ・メルクーリ
)
”!」
飛来した巨大な二つの顎が、その眼球をすべて呑み込んだ。神気が消滅する。
「夏音!」
彩斗は落下してくる夏音の身体をしっかりと抱きかかえる。
抱きしめた夏音の身体は、冷え切っていた。
だが、確かにその鼓動は感じる。
「よかった……本当によかった」
彩斗は夏音の無事に安堵して一粒の涙がこぼれ落ちた。
事件の始末を那月が引き受けてくれるということで彩斗たちはあっさり帰された。絃神港に到着して三十分。
古城は、ボロボロの制服の代わりにアロハシャツを着ている。
彩斗の制服もボロボロであったがそれを着る気にはなれずそのままの格好でいる。
「叶瀬は?」
「しばらく入院することになるそうです。魔術儀式の影響で、衰弱がひどいので──」
「まぁ、第一に至らなくてよかったけどな」
「緒河先輩は、叶瀬さんのことが本当に心配なんですね」
その言葉に彩斗は顔を真っ赤に染める。
「い、いや、……そ、それは」
雪菜は、安堵するように微笑む。
「──こちらにいたのですか、彩斗。それに古城、雪菜も」
「ラ・フォリア? もう帰るのか?」
古城が訊く。
ラ・フォリアは、彩斗を一瞥して、優雅に微笑む。
「これから病院に向かいます。墜落した飛行船の生存者が収容されているそうなので」
「救助された人たちがいたんだな」
いい知らせだな、と彩斗は顔を赤くしながら口にする。
「はい。そのあとは東京に。非公式の訪問のつもりだったのですが、こうも騒ぎが大きくなっては、そういうわけにもいかないでしょう」
「外交か……大変だな、王族ってやつも」
ラ・フォリアは心配そうに見つめる彩斗と古城に微笑む。
「──お別れは申しません。あなた方のおかげで、無事にこの地に辿り着くことができました。この縁、いずれまた意味を持つときがありましょう」
気品溢れる口調で、ラ・フォリアは彩斗たちの前に出た。そして雪菜を抱き寄せ、彼女の左右の頬に順番にキスをする。少し驚いた表情でそれを受ける雪菜。
ただの挨拶なのだろうが、彩斗たちにそんな文化がないためやはり驚く。
続けてラ・フォリアは古城に一歩近づいて、同じように左右の頬に順番にキスをする。
古城は、少し身体を硬直させる。その光景を見て、雪菜と紗矢華が少しムッとしている。
最後にラ・フォリアは彩斗に一歩近づいて、同じ
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