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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
天使炎上篇
15.天使炎上
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 賢生は愕然としながら目を細めた。眷獣が消滅し氷の裂け目から、見覚えのある四人組が現れる。
 古城と雪菜、そしてラ・フォリア・リハヴァインと彩斗だ。

「生きていたのか、第四真祖。さすがは世界最強の吸血鬼、と言ったところか」

「オッサン、あんたは──」

「だが、ありがたい。もう一度きみと戦えば──強敵との戦闘で霊的中枢をフル稼動させれば、夏音は今度こそ最終段階に進化する。これ以上、新たな敵を求めて彷徨う必要はない。夏音はもう傷つけなくて済む」

 古城の言葉を遮って、賢生が一方的にそう告げた。

「テメェは、もう黙ってろ」

 あまりにも身勝手な言い訳に頭に血が上がる古城の後方から先ほどのように膨大な魔力を感じ取る。
 それが彩斗のものだと考えるまでもなくわかった。

「あんたがなにをしたいかなんてわかんねぇ。だが、テメェがそこのババアとかとは違う考えで夏音を模造天使(エンジェル・フォウ)にしたのはなんとなくだがわかる。……だが、俺はお前を許さねぇよ!」

 彩斗の冷ややかな口調には、先ほどまでの怒りもあったが、それ以外に同情するような声が感じられる。

「……黙れ……お前ごときに私の夏音に対する気持ちがわかるか!」

 賢生が声を震わせる。信念の揺らいだ彼の表情には、憎々しい苦悩が混乱していた。

「──下がりなさい、賢生!」

 ラ・フォリアが鋭い声で警告した。
 だが、その言葉が届く前に、賢生の頭上で爆発が生じた。
 何者かの攻撃で氷の塔が爆発した。
 鋭く尖った氷塊が賢生へと降り注ぐ。だが、それは賢生に激突する前に飛来した巨大な梟の黄金の翼が拒んだ。

「ベアトリス・バスラ───!」

 雪菜が叫んだ。
 古城たちの背後に紅いボディースーツの女吸血鬼と獣人化したロウ・キリシマがいる。

「のんびり育児方針についてお話ししてるところ悪いんだけどさァ、時間外労働だし、あたしたち、そろそろ帰りたいのよね。さっさと第四真祖をぶっ殺しちゃってくれないかしら」

 槍の眷獣を自らの手に戻し、ベアトリスは、気怠そうに息を吐いた。

「でないと、せっかく造ったこいつらが売れ残っちゃうからさ──!」

 手に持っていた制御端末を起動させ、金属製のコンテナの蓋が、轟音の内側から弾け飛んだ。
 その姿は、以前の絃神島ないで見た奇形な仮面。

「“仮面憑き”!?」

 雪菜が、槍を構えて愕然と叫んだ。
 不完全とはいえ彼女たちは、古城を追い詰めるほどの戦闘力を持っている。それが二体。

「どういうことだよ。おまえらが造った模造天使(エンジェル・フォウ)の素体は七体だけじゃなかったのか?」

 古城が顔をしかめて賢生を睨む。

「そのはずだ。私は、儀式に必要な最
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