第二章 終わらせし者と月の女神
第四話
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の手配をしよう。して、ロキ殿は?」
「私は、湖を見に行きたいと思います。マーファの湖は美しく、生涯に一度は見ておいたほうがよいと祖国では言われていますので」
「うむ。あの湖は確かに美しい。それにあそこには女神がいるとヴェルダンでは御伽噺にもなっている。そうだな……ジャムカ、ジャムカはいるか?」
「ええ、ここに」
そういって、会食の途中で一人の青年がはいってきた。
「ジャムカ、そなたはロキ殿につき湖に行って参れ。しっかりとお守りするのだ」
「分かりました」
それから、無駄話が始まった。どうやらここでは、腹の探り合いをバトゥ王はするつもりはないのであろう。朝食を無事に食べ終わり、もう一度部屋にロキ達は戻った。
「父上、すでに噂はお耳に触れましたか?」
「もちろんだ。他国に来て兄弟喧嘩とは……、なにかあるの」
「私もそう考えています。しかし、読めません」
「うむ、あのエルトシャンという若者は謀略のようなことは苦手そうな男だ。となると弟がと考えるが……もしや、我らを試しておるのかもしれんの」
「といいますと?」
「いやな、他国に泊まるということ即ち、自分達の行動や言葉は全て見られているというのは常識だ。それを彼らが知らぬわけがない。なのにも関わらず、わざわざ喧嘩をしたということは、我々を挑発しているのではなかろうか」
「挑発……なるほど。つまり喧嘩のことを侮辱でもされたら、それを理由にヴェルダンとの同盟をすぐにでも断ち切るといったそんなところでしょうか?」
「きっとそれが正解に近いであろうの……、だが、今アグストリアと同盟関係を終わらせるのはまずい。すぐさまこの喧嘩の件を漏らさぬようにせねばならん。特にガンドルフとキンボイスの二人には絶対そのことに触れぬよう言っておかねばな」
ロキの策は見事に破られた。これは、会食後すぐのことだ。
「しかし、面白いの」
「何がでしょうか?」
「兄弟喧嘩の内容もお主の耳に入っておるかの?」
「ええ、なんでもロキ殿が将来の主であるシャガール王子の悪口をいい、エルトシャン殿がそれを諌めたと」
「うむ、それじゃ。もし、この噂により彼らの思うように事がなった場合。原因の噂の内容がきっとアグストリア全体に行き渡る。その時叩かれるのは弟のロキ。しかし、エルトシャンの評判は上がるであろう。それに弟の罪は、ヴェルダンを滅ぼしたことにより、なかったかのようになる」
「シャガール殿への言い訳は、ヴェルダンを滅ぼすための罠といえばなんとでもなるといったとこですか?」
「そうじゃ、きっとここまで露骨に策を講じてきたのであるから、きっとノディオン国王も知ってい
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