第二章 終わらせし者と月の女神
第四話
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ことを言うとは。まぁ言ってみろ」
「はい。実はシャガール王子が兄上に嫉妬心を抱き、あわよくば殺してしまおうと考えているという噂を耳にしました」
「何を言い出すかと思えばロキ! もう一度、言ってみろ。その言葉、不敬罪ととも捉えられんぞ!」
「すいません。しかし……」
「言うな! それ以上、言うのであれば実の弟とて容赦せんぞ!」
「はい……」
なにやら他国に来てまで、兄弟喧嘩をしたらしい。そんな話がマーファ城を中心に城下町に広がった。それは、ある思惑もあってロキがエルトシャンと示し合わせて行われたものであった。
「これで、よかったのかロキ?」
「ええ、これでいいのです。この程度でバトゥ王が息子たちに言われ行動を起こすような男であったら同盟関係は、その場で破棄しこの土地は我が領土となりましょう。すでに準備は万端です」
「くっ、ホントはこんなこと私の主義に合わないのだがな。父上からもそれを認めるという言葉がなければ」
「今頃遅いでしょう。それにもしメイドや兵士達が私たちに不敬を働けばその場で同盟関係を終わらせる算段は付いています。個人的には、この程度で揺さぶられて欲しくはないですね」
「お前は、恐ろしい事を考えつくようになったな。まるで、悪魔のようだ」
「ひどい言われようですが、これも全てはアグストリアのためノディオンのためです。ご理解ください兄上。もちろんこの策がならなくても兄上の名声は広がりましょう」
「わかっているさ……、しかし、それを心が許してはくれないんだ」
エルトシャンは言い終えると、黙り込んだ。ロキは、肩をすかしながらバトゥ王からの使いを待った。それからいくらかの時間が進み二人がある程度の支度を終えた頃に昨日部屋に案内したメイドが彼らの部屋を訪れた。
「朝食のお時間です」
「わかった。ありがとう」
ロキは少しばかり緊張していた。朝食とは、名ばかりでこれから国と国をかけた会食が行われようとしていたからだ。
「おはようございます、バトゥ王」 「おはようございます」
「ああ、エルトシャン殿にロキ殿。昨日はゆっくりくつろぐことができたかの?」
「おかげさまで」
エルトシャンの言葉にロキも頷く。
「そうか、それはよかった。さてさて、今日は何をなされたいか?」
「といわれますと?」
「いや、なに、友好のためとはいえ一週間ここに滞在なされるのだ。しかし、ここは見ての通り山と湖しかない。こちらも存分にもてなそうと考えておるが、そなた達の意見も聞いておきたいと思ったまで」
「そうですね……。私は、城下町の探索に行きたいと思っています」
「そうか、そうか。では後ほどそ
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