第二章
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「よきお相手を向けて下さい」
「わかりました」
皆会社の人の言葉に応えてだ、そのうえでだった。
それぞれ用意された軽食やドリンクを楽しみ異性と話す、その中で。
マヤリームも相手を探した、すると。
一人の長い黒髪のまるでモデルの様な顔立ちの女が来てだ、彼に透き通る様な声でこう問うてきたのだった。
「こちらに来られたということは」
「はい、結婚相手を探していまして」
それでだとだ、マヤリームは彼女に素直に答えた。丁度ドリンクとしてあったオレンジのジュースを飲もうとしていたところだ。
「それで参加しました」
「そうですか、私もです」
「貴女もですか」
「シャラーナ=ベナンといいます」
女はこう名乗った。
「この街で電話会社の事務員をしています」
「そうなのですか」
「はい」
見ればその美女シャラーナはコップを持っていない、皿もだ。何も手にしていない。
そのことを見てだ、マヤリームはこう言うのだった。
「あの」
「あの?」
「召し上がることは」
「あっ、今はお腹が空いていないので」
いいとだ、シャラーナは微笑んで答えた。その微笑みがまた艶やかなものでありマヤリームを魅了した。
それでだ、彼は前に出て言った。
「あの、これから」
「お話をですね」
「していいでしょうか」
「はい」
今度は優しい微笑みで応えたシャラーナだった、こうしてだった。
二人はこの合コンを出会いとしてそのうえで交遊をはじめた。そしてしばらくしてだった、マヤリームは満面の笑顔で社長にこう言った。
「社長、実は俺結婚することになりました」
「ああ、合コンで知り合った相手とか」
「はい、物凄い美人で」
しかもだというのだ。
「気品があって穏やかなんですよ」
「おいおい、いい相手を見付けたんだな」
「はい」
実にだとだ、マヤリームは満面の笑顔のままで答えた。
「最高ですよ」
「それはいいね。じゃあ幸せになるんだぞ」
「わかりました」
「それで子供が生まれたら」
未来のことをだ、ここで社長は言った。
「気をつけるんだぞ」
「気をつけるっていいますと」
「うん、子供を襲う悪い人間や妖怪にな」
「妖怪にもですか」
「妖怪は子供を狙う奴もいるからな」
狙われるのは大人だけではない、そうした悪質な妖怪もいるというのだ。
「我が国にもな」
「マレーシアにもですか」
「そうだ、特に吸血鬼にはな」
「吸血鬼ってマレーシアにもいるんですね」
「いるからだ、だからだよ」
気をつけろとだ、マヤリームに言うのだった。
「わかったな」
「ううん、俺も妖怪とか幽霊はいないとは思わないですし」
「コーランにも書かれているだろう」
「ですね、ジンにしても」
イスラム世界においてジンの
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