第一章
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妻の正体
マレーシアサンダカンに住んでいる青年マヤリーム=アルドゥーンは独身である、仕事はタクシーの運転手だ。
一人身だからだ、彼に勤めている会社の社長がこう言って来た。
「御前さんもそろそろな」
「はい、嫁さんをですね」
「ああ、貰ったらどうだ?」
こう彼に言うのだ、丁度一仕事終えた彼に。
「一人な」
「一人ですか」
「養えるなら四人でもいいけれどな」
イスラムの戒律に従いだ、それもいいというのだ。
「公平に愛してな」
「いや、一人でいいです」
そう言われるとだった、マヤリームは苦笑いになって社長に応えた。浅黒い肌に黒く短く刈った髪、明るい目をしている。痩せた身体はやや小柄だ。
その彼がだ、丸々と太っている社長に言った言葉だ。
「やっぱり」
「そうだろう?嫁さんは一人でないとな」
「何かと大変ですね」
「そうだ、まあ普通は一人だ」
イスラム圏であってもだ、普通はそうだというのだ。
「養えないし公平に愛するなんてな」
「難しいですよね」
「かなりな、女は怖いからな」
「怖いですか」
「怒るとな」
それこそだとだ、社長は冗談めかして笑って述べる。
「それこそアラビアンナイトのグールだよ」
「それはまた厄介ですね」
「だからだ、結婚するのならな」
「一人ですね」
「一人にしておけ」
そこはだ、絶対にだというのだ。
「御前さんが相当な御仁でもない限りな」
「わかりました、相手ですか」
「お見合いでもしてみたらどうだ、それか日本で流行っているな」
「日本で?」
「合コンとかいうのがな。最近マレーシアでもやってるんだよ」
「それどんなのですか?」
合コンと聞いてだ、マヤリームは怪訝な顔になって社長に尋ねた。
「一体」
「何でも結婚したい男と女が集まってパーティーをしながらな」
「その中で相手を見付けるんですか」
「ああ、そういうものらしいな」
「それじゃあ俺がそれに出てですか」
「相手を探してみたらどうだ?」
社長はこうマヤリームに言う。
「そうしてみたらな」
「面白そうですね、パーティー好きなんですし」
「なら余計に都合がいいな」
「はい、パーティーを楽しめてそこで結婚相手も見付かるのなら」
「言うに越したことはないな」
「そうですね、それじゃあ」
「ああ、参加してみろ」
ものは試しでだ、社長はこうマヤリームに勧めた、そして実際にだった。
マヤリームはその合コンというものについて調べてそのうえで一つ合コンを設定している会社を見付けた、その会社に電話してだった。
パーティー会場であるレストランに向かった、そしてそのレストランに行くと。
若い男女がそれぞれ十人ずつ位いた、そのうえで。
設定している会社
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