第二章
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だが、だ。それでもだというのだ。
「もう一つね」
「物足りなく感じられるのですね」
「どうもね。どうしたものかな」
こう言うのだった。
「これは」
「どうしたものでしょうかね」
「美味しいものを食べれば、美味しいお酒を飲めば」
そうすればというのだ。
「美味しいコーヒーでもいいよ」
「今飲んでるそれみたいにですね」
「うん、幸せになれるよ」
このことはその通りだというのだ、彼は幸せではあるしそれを感じてもいるというのだ。
だが、だ。それでもだというのだ。
「それは一時でね」
「ずっと続くものじゃないんですね」
「どうもね」
「だから物足りないんですね」
「ぽっかりと。何かが足りないみたいな」
そうした感覚だというのだ。
「今一つね」
「何かが実際に足りないんですね」
「そういうものだよ。どうしてかな」
首を傾げさせながらだ、また言うロバートだった。
「今の僕は」
「幸せかというと今一つ」
「うん、物足りないね」
こう言ってなのだった、物足りなさを感じ続けている彼だった。それがどうしてなのかはとてもわからなかった。
そうして物足りなさを感じる日々の中でだ、彼は校長にこう言われた。
「君はまだ独身だったね」
「はい、実は」
その通りだとだ、ロバートは校長室で校長に答える。
「まだ結婚をしていません」
「一度もだね」
「そうなんです」
「ふむ。君も三十五だしね」
校長はロバートの年齢もここで話すう。
「それならね」
「相手をですか」
「一人いい人を知っている。会ってみるかね」
こう彼に言うのだった。
「一度」
「はい、どういう人なのか」
会ってみたいとだ、ロバートも言う。
「そうさせてくれますか」
「それではね」
「それじゃあ」
こう話してだ、そのうえでだった。
ロバートはその人と会うことになった、校長は彼をまずはモントリオールの公園に連れて行った。そこはカナダの国花というか国木である楓が多くある木公園だ。
その公園に彼を連れて来てだ、その前に。
彼女はいた、それは見事なブロンドの髪に青い楚々とした澄んだ目の優雅な雰囲気の女性だった。白く丈の長い清楚な服を着ている。年齢は二十八といったところか。
ロバートをその人の前に案内してだ、こう言うのだった。
「私の姪でね」
「姪御さんですか」
「そうだよ」
「はじめまして」
その人はにこりと笑ってロバートに挨拶をしてきた。
「ベッキー=キャメロンです」
「キャメロンさんですか」
「はい」
にこりと笑っての返事だった。笑顔が実にいい。
「保育園で働いています」
「保育園で、ですか」
「私の影響、いや妹の影響かな」
校長は笑ってこうも言った。
「実は妹も保
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