第三章
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「今ならな」
「薬を飲めばか」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「その薬がな」
肝心のそれがだとだ、トカチは難しい顔で言うのだった。
「問題なんだよ」
「一体どんな薬なんだ」
「今から言うな」
「薬のことか」
「ああ、これだけ必要なんだよ」
兄は次々に様々な草や茸、実等を弟に言った。弟は全て聞いてからこれまで以上に深刻な顔で言った。
「何だ、それは」
「どれもだな」
「ああ、そのどれもがな」
「滅多に見ないものだろ」
「しかも数が多いな」
コンセンは絶望した様に言うのだった。
「それをか」
「出来るだけ早いうちに集めてな」
そしてだというのだ。
「全部すり潰して混ぜてな」
「薬を作ってか」
「おっかあに飲ませたらな」
その時はというのだ。
「治るんだがな」
「しかし、それだけのものを全部集めてか」
どれも滅多に見ないものだがそれを幾つもしかも出来るだけ早いうちに集めないといけないというのである。
「難しいな」
「けれど全部集めて薬を作ったらな」
「薬が出来るんだな」
「そしておっかあは助かる」
このことは間違いないというのだ。
「長老はそう言っていた」
「わかった、じゃあな」
「それじゃあだな」
「ああ、俺はすぐに行く」
コンセンはいきり立って兄に告げた。
「薬の素を集めにな」
「そうか、それじゃあな」
「兄貴はどうするんだ」
「俺はな」
自分はどうするかとだ、コンセンはトカチに話した。
「少し考えがある」
「今度はどうするんだ?」
網のことからだ、コンセンはトカチの閃きを期待して問うた。
「一体」
「まあ御前は御前で探してな」
「兄貴は兄貴でか」
「やってみる、とにかく薬の素は全部探すからな」
「ああ、そうしような」
こうしてだった、コンセンはすぐに山や草原、川辺や川の中、海に潜って必死に薬の素を探していった。兄弟でどの素を集めるのかは打ち合わせをして決めて彼は彼の集める分を集めに行ったのである。そしてトカチはというと。
彼はだ、犬達を集めてだった。
彼等にだ、トカイが集めるべき薬の素がどういったものかを全部犬達に対して教えた。それで言うのだった。
「よし、じゃあいいな」
「ワン」
犬達は彼の言葉に確かな声で応えた、犬の言葉で。
「全部持って来てくれ」
「ワンワン」
犬達を送り出したのだ、その彼等が薬の素を集めてきた。
コンセンが自分が集めるべき薬の素を全て集めて何とか家に戻った時にだ、家の前にいる犬達を見て兄に問うた。
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