第三章
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北アフリカ戦線でドイツ軍はイタリア軍に驚き呆れながら戦った。しかしエル=アラメインから敗れ北アフリカから撤退した。
そして終戦後だ、何故かイタリアは戦勝国側にいて。
ドイツは敗戦国だった。しかしドイツ人達は戦争の後でだ。
よくイタリアに行った、それでイタリアを観光しながらこう思うのだった。
「何かな、ついな」
「来たくなって来てしまう場所だな」
「どうしてもイタリアに来てしまう」
「不思議だ」
「全くだ」
こう口々に言うのだった、そして。
イタリア人達もだ、彼等に陽気にこう言って来る。
「やあ、ドイツから来てくれたんだね」
「楽しんでいってね」
「料理もワインもね」
「それに観光もね」
「音楽も」
「何でこんなに明るいんだ」
ドイツ人達は自分達を実に陽気に迎えてくるイタリア人達を見て首を傾げさせてそのうえでこうも言うのだった。
「イタリア人は」
「楽しんでるな、何もかもを」
「そこまで楽しんでいいのか?」
「人生を」
「いや、人生は楽しむものだよ」
これがイタリア人の主張だった。
「楽しまないと駄目じゃない」
「だから戦争でもか」
「パスタやワインを用意してか」
「それで食事を楽しんでいたのか」
「あの時も」
「人間楽しくないと生きられないじゃない」
あの戦争の時のことについてもだ、イタリア人は言い切った。
「だからね」
「水も一杯用意してか」
「ワインまであって」
「あれだけ美味いものも用意して」
「将軍になると専属のコックまで連れていたのか」
「そして戦争が終わっても」
平和になったら余計にだった、彼等はイタリアの青い空と明るい日差しの下でリードを手に明るく歌いながら生きていた。
その彼等を見てだ、ドイツ人達は言うのだった。
「こうしてか」
「明るく楽しくやってるのか」
「それが人生に一番いいと思っているから」
「それでか」
「確かにイタリアにはカントやヘーゲルはいないよ」
高名な哲学者はだ、イタリアはドイツ程出てはいない。
「けれど楽しいこと、人生を楽しむことがね」
「イタリアの哲学か」
「そう言うんだな」
「そう思うよ、だからね」
是非にだというのだ、イタリアに来たドイツ人達も。
「楽しもうよ、人生をね」
「そうか、それならな」
「せめて今だけはな」
「楽しくやるか」
「禁欲的でもなく気難しく考えることなくな」
イタリアの青空を見ての言葉だ、今彼等の上にあるのはドイツの暗く重い空ではない。明るく晴れた空である。
「飲んで食って観るか、明るく楽しくな」
「そうするか」
「さあ、一緒に楽しもうよ」
イタリア人達はやっと微笑んだドイツ人達を明るく迎える、そのうえで彼等は仲良くやっていった。若しかするとイタリアが
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