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外から来た邪
第四章

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「頼んだよ」
「わかりました、それでは」
「じゃあ調査をはじめるか、まずは犠牲者と事件現場、それと殺害時刻とかのことも調べるな」
 フェリペは仕事の話をした、そうして。
 三人で調査書を読むと共に事件現場等を回り犠牲者のことも調べた。事件現場はまちまちであったが。
 犠牲者はだ、誰もがだった。
「仕事も性別も年齢もまちまちだな」
「そうですね」
 そうした調査を終えてだ、三人は事務所兼フェリペの家に戻ってまとめたファイルを読みながら話した。エンリコはフェリペに対して言う、
「そこは」
「ああ、ただな」
「皆持ちものが」
「今の俺達とは違うな」
「十字架も聖書もですね」
「どっちも持っていない奴だけだな」
 このことにだ、気付いたのである。
「神父さんが俺達に持たせてくれたのも」
「はい、それが為です」
 その通りだとだ、神父も答える。
「だからです」
「それでなんだな」
「そうです、ですから」
「相手は十字架だの聖書は嫌いか」
「はい」
 親父が思っている相手ならというのだ。
「そうなります」
「確実に妖怪だな」
 フェリペはこのことからこう確信した。
「人間なら十字架や聖書を持っていてもな」
「構いませんね」
「見えないとな」
 それならというのだ。
「別にな」
「人は殺す相手が十字架をかけていても気にしません」
「信仰のない奴は見えてても構わない」
「そうしたものですから」
 それが人間だというのだ。
「残念ですが」
「そうだな、しかも犯行時間はな」
「夜ですね」
「犠牲者の死亡時間は同じだよ」
 フェリペはそのことも確認して言う。
「何か揃ってるな」
「如何にもですね」
 そのことも聞いて言うエンリコだった。
「化けものの話っぽいですね」
「神父さんに来てもらって正解だったな」
 フェリペはここで神父を見て述べた。
「俺達は化けものは専門じゃないからな」
「そうですね。それなら」
「今夜にでも街に出るか」
「それでマニラの何処に出ますか?」
「一度事件があった場所にするか」
 過去の事件現場にだというのだ。
「人間でも犯行現場を確認するだろ、それで狩り場ならな」
「絶対にそこに来るからですか」
「ああ、そうするか」
 それでだというのだ。
「ここはな」
「そうですね、異形の者は人の世界の摂理の外にあります」
 神父も言って来た。
「相手は。やはり私の思う相手なら」
「事件現場は犯行現場ではなくですね」
「狩り場です」
 まさにだ、それになっているというのだ。
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