魔法都市にて、思いは渦巻く
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書いてシスコンと読むにグレードアップ)のクロスである。
「んー・・・じゃあ何でだろーね」
「スバルとか、何か知らねーのか?」
こてっと首を傾げるルー。
アルカはクロスの次にカトレーンの事情に詳しそうなスバル達に訊ねる。
「さぁな、オレ達だって聞きてぇよ。あのばーちゃん、何考えてるか解らねぇんだ」
「それにかなり怖い人だから・・・私達もあんまり関わりたくないんだよね」
「あの女の行動など、理解したくもない」
「落ち着けライアー・・・まぁとにかく、私達にも解らないんだ」
だが、期待したような答えは返ってこなかった。
「生憎、俺もそこまでカトレーンには詳しくない。姉さんを苦しめる一族の事など知ろうとも思わなかったしな・・・まさかこんな所でそれが仇となるとは」
ガシガシと髪を乱し、クロスが苛立たしげに呟く。
すると、何かを思い出したようにウェンディが口を開いた。
「あの、クロスさん」
「どうした?マーベル」
「クロノさんなら、何か知ってるんじゃないでしょうか?」
クロノとは説明するまでもなく、クロノヴァイス=T=カトレーンの事だ。
確かに彼もカトレーンの人間であり、更に評議院の人間である為に血塗れの欲望についても詳しいだろう。
妹と弟、かつて所属したギルドの為なら軽く引き受けてくれそうだ、と1回だけ会った事のあるウェンディは思った(『緋色の空』参照)。
だが、彼女は知らない。
「・・・あの兄さんが、ただ情報を教えてくれる訳がないだろう」
「え?」
クロスは苦虫を噛み潰したような表情で呟いた。
ウェンディが首を傾げる。
そしてクロスは思わずギルドにいた全員が叫びたくなるような一言を言い放った。
「シスコンの兄さんが姉さんの危機を黙って見過ごすはずがないっ!」
・・・沈黙。
そして、全員が心の中で叫んだ。
(えーーーーーーーーーーーーーーーっ!)
自分の事シスコンだって認めないのにクロノの事シスコンだと思ってるんだ!
そういう意味を込めて、叫ぶ。
実際に声に出して叫ぶと近所迷惑なので、心の中で。
「評議院の強行検束部隊隊長の兄さんが関わると大事になりすぎる。かといって兄さんが黙って情報だけを渡すなんて有り得ない。なるべく兄さんは頼りたくないんだ」
バラム同盟の闇ギルドが関わっているから既に大事なのだが、クロスは全く気にしていないように呟いた。
「だからまずは情報を集めるところから始めないといけない。何故お祖母様が姉さんを連れ帰ったのか・・・そこから始めないといけないんだ」
「んなのあのばーちゃんぶん殴っちまえばいいじゃねーか」
「何でそうなるのよっ!」
「それで解決する訳ねーだろ!」
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