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打球は快音響かせて
高校2年
第二十三話 転換
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第二十三話



キーン!
高々とフライが上がる。

「オーラーイ」

ファールゾーンで川道が手を上げて落下点に入り、しっかり両手で捕球。
両軍ベンチから選手が出てくる。
海洋ベンチからは勢い良く、三龍ベンチからはうなだれながら。スコアボードには、11対5のスコアが刻まれていた。

「あー」

三龍応援席では翼が小さくため息。
惜しかったな。それが率直な感想だった。
水面海洋は地区一番の強豪だと聞いていたが、そこにせっかくリードを奪っていたのに、結局勝てなかった。

「…………ズズッ」

ふと、隣から鼻を啜る音が聞こえてきた。
牧野が顔をクシャクシャにして、ボロボロ涙を流していた。

ああ。翼は気づいた。
今、この人の高校野球が終わったんだ。
グランド上の選手が試合後の挨拶を済ませてから、応援席への挨拶にやってくる。
眼下に整列した選手達も皆むせび泣いていた。
ベンチ外の牧野さんの涙と、下に見えている3年生達の涙。どちらも同じもののような気がした。
この数週間だけ、グランドの中と外に分かれたが、この人達は同じ「高校野球」をしていた。

「よく頑張ったー!」
「感動したばい!」

応援に来てくれた生徒が、口々に労いの言葉をかけながら拍手を浴びせる。
暖かいなぁ。翼はそう思った。



ーーーーーーーーーーーー



「……林さん」
「……宮園か」

その日の晩、宮園は寮のロビーで林とばったり会った。

試合後、3年生へのミーティングがあり、下級生に対してのミーティングがあり、保護者や吹奏楽部への1人一言の挨拶があり、写真撮影があり、涙無しには見られない「高校球児最後の1日」のテンプレのような1日を過ごした林の目は、夜になってもまだ赤かった。

「……こんな夜中にまだ起きてるんか」
「何日かオフがありますからね。今日は夜更かししても大丈夫です」
「俺はもう、毎日夜更かししてもOKやわ」
「「アハハハ」」

夜遅くまで起きていて、「明日の練習は大丈夫だろうか」と不安になる。林は今日をもってそんな日々とはおさらばである。負けたのは悔しいが、解放感がないと言えばそれも嘘だろう。林は声を上げて笑った。

「主将とか、もう決まったん?」
「はい、渡辺になりました。」
「お前は?」
「副将になっちゃいました。俺と太田です。」
「大体予想通りやなぁ。監督はなんて?」
「“負けて分かった。やっぱり俺は勝ちたい。甲子園行くぞって"、気合い入れてました」
「それ、去年も全く同じこと言いよったけんww」

林はクスクスと笑う。去年と同じ。それは宮園も思っていた。去年と同じように負けて、同じように役職が決まって、同じような訓示…
そして気がついたら先輩は居
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