#4『ファーストリべリオン』:2
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か、分かるだろうか。
「――――ルァッ!!」
どこか獣めいた気合いを放ち、チャイネイの手刀がイーリンに迫る。とっさに腕を上げてガード。ものすごい衝撃と共に、イーリンの体が軽々と吹きとぶ。だが、チャクラの力は半端な攻撃で無効化することなどできない。即座に彼女のダメージは回復し、イーリンは空中で無理やり体制を立て直す。そして取った構えは――――
「――――――!」
「イァァァッ!!」
ヒュドォ!!という大気を引き裂く凄まじい音と共に、イーリンの足がギロチンの刃が如く迫る。これは、チャイネイの技と同じ断頭台踵落し!!
炸裂。チャイネイの体が吹き飛ぶ。もうもうと煙が立ち上る。いつしか、第九師団はメンバーたちは、息を止めながら戦いを見守っていた。
そして――――煙の中から、無傷のチャイネイが姿を現した。
「う、嘘……!?」
「危ない一撃だった。俺が第五段階のチャクラ使いでなければ死んでいたかもしれない……腕を上げたな、イーリン。その実力に敬意を表し――――俺の、本気を垣間見せよう」
チャイネイは、体内のエネルギーを開放する。相いれるはずのない魔力と霊力が同時に解放され、爆発的なエネルギーを発生させる。それに乗って、音速すら超えた突進。
単純な攻撃ではあるが、それ故に馬鹿に出来ない破壊力を持った攻撃である。チャイネイの拳がイーリンに迫り……
彼女を打ち抜く直前、チャイネイはイーリンを地面に引き倒すことで、惨事を防いだ。イーリンの首を抑えて、かぎづめ状に指を曲げた腕を振り上げるチャイネイの姿は、どこか狩りをする獣のようにも見えた。
「……負け、ました」
「お前も良くやった。もうかつてのお前の兄よりも強くなったと思うよ」
言葉が少ないチャイネイとしては、珍しく長めで、彼らしく率直な賛辞であった。イーリンは頬を染めてチャイネイから目をそらすと、消え入りそうな声で呟いた。
「あ、あの……そろそろ、退いていただけないでしょうか……このままだと、何かの始まりの様で……その……恥ずかしいです……」
そこでチャイネイは、どうにもこの状況では自分がイーリンを押し倒したように見えるという事に気付いた。いや、あながち間違ってはないのだが……。
「!!……す、すまない」
イーリンの上から身を退けるチャイネイ。いつの間にか、コーリングを先頭に、第九師団の面々が拍手をしていた。
すがすがしい気分で窓の外を見ると、しかし雨はいまだ降り続いている。
「……なにか、良くないことが起こりそうだ」
中規模のDランク《箱舟》の《教会》支部が壊滅しかけているという報告が入ったのは、それから三十分ばかり後のことだった。
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