#4『ファーストリべリオン』:2
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まになるチャイネイではない。
彼女の手首にふっ、と触れると、小さく息を漏らしながら、掌打。攻撃のベクトルを変えると同時に、相手の攻撃のパワーを使って距離を取る。
「まだっ!!」
すると、流れるような動作でイーリンの攻撃が回し蹴りに以降。今度はチャイネイの足を狙ってくる。
「――――っ」
逆立ちにもにた体制をとると、チャイネイは腕の力だけで跳躍。そのままイーリンの頭上まで移動し、大上段からのかかと落しを敢行。異様なスピードでチャイネイの足が振り下ろされる。
「ぜぁっ!」
「っ!」
ドウン!!という凄まじいインパクト。チャイネイも弾き飛ばされる。ギロチン台のごときこの足技は、チャイネイの通常技のなかでも飛び切りの強さを誇る。何度も対戦相手や、闘技場の幻獣たちを戦闘不能にしてきた技だ。鍛え抜かれた第九師団ですら、無傷ではいられまい。
だが――――煙が晴れた時、再び構えるイーリンには、傷一つなかった。いや、チャイナドレスははやくも所々が引き裂かれ、ぼろぼろになってはいるが、彼女本人には一切の傷がない。だが、その表情は痛覚を我慢しているかのように歪んでいる。彼女の操る第四チャクラの能力は、《回復》。精神と肉体の回復をつかさどるこのチャクラは、傷を一瞬で癒し、再び戦うことを可能とする力を持つ。
「回し蹴りへの連携攻撃、冴えるようになったな」
「いつまでもそのままでいるわけにはいきませんから」
「そうか……だが、俺も負けるわけにはいかんのだな、これが」
チャイネイは自分の意識を、腕に宿った《刻印》に向ける。精神をかき集めて、《刻印》の”スイッチ”に流し込む。深紅の余剰光が発生し、チャイネイを取り巻き始める。
そして、チャイネイの身体に変化が起きる。
まず、体の所々に爪痕の様な模様が出現する。腕、足、頬、額。同時に犬歯は鋭くとがり、まるで獣牙の様に変貌する。さらには腕の形状が、めきめきと音を立てながら、どことなく猛獣っぽく変貌する。
《刻印》、《虎》が引き起こす形状変化。もっとも、今は大分能力をセーブしているため、あまり大きな変化は起きないが、これが完全開放とまでなると尻尾や虎耳まで生えてきて愉快な外見になってくる。
だが、その能力は当然ただの笑い話では済まない強さだ。猛獣の身体能力は、明らかに人間を凌駕する。鍛え上げられた《騎士》たちなら猛獣や幻獣を撃滅することは可能かもしれないが、世界の総人口から見ればそれが可能なのは少ないだろう。チャイネイたちの方が異常なのだ。
つまり、猛獣とは一般論的には人類より身体能力的には上位種だ。それが、洗練された人間の技を使用する。どれだけ恐ろしい事
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