第十八話 葛藤
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仲間じゃねぇよ。」
「仲間って、そんな簡単なものじゃないですよ。」
隊長の目は、まっすぐに彼を見ていた。
私は、どうすればいいのだろうか。何をすれば、正解なのだろうか。イナリは、私にとって大切な友達、大切な仲間。でもきっと、それだけじゃない。彼は、私の幼馴染みで、悲しい過去を持ってるけど、それを周りには見せない。強くて、でも、時々おっちょこちょいで。私はきっと彼の事を・・・。
だけど、私は、菜野一族の人間。菜野一族は、ある事件まで、木ノ葉で誉れ高い一族だったらしい。でも、その事件を境に落ちぶれていった。お父さんは言ってた・・・あの栄光をもう一度取り戻したいんだって。あの事件を許せないんだって。皆、そう思ってるんだって。でも、そんなの知らないよ。私には。だって、私にはお父さんがいて、お母さんがいて、親戚のお兄ちゃんやお姉ちゃんがいて、おばさんがいて、おじさんがいて、代表のおじいちゃんがいて、そんなに多くないけど、一族の皆で楽しく暮らしてるのが、私の知ってる菜野一族なのに。
どうすればいいの?
任務を終えた私達は、そのまま何事もなく木ノ葉に戻ることが出来た。ヤジロベェさんは、最後、何か色々と話していたけど、私には耳に入ってこなかった。イナリとも、ずっと話すことができなかった。というよりも、私が避けていた。どんな顔を彼に向ければいいのか、分からなかったから。結局、そんなこんなしてるうちに解散になった。
一人で帰る帰り道、その足は重く、帰りたくないな、何て事も思ってた。そんな時、水が頬に落ちた。また泣いてるのかと思ったけど、違うかった。雨だ・・・それは、少しずつ強くなっていく。地面を少しずつ濡らして、その色を黒く染めていく。その地面が、真っ黒に染められた頃、雨はどしゃ降りだった。ザーという音を立てて、私の顔を、服を、体を濡らした。
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