第十八話 葛藤
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う遅い。クナイを弾く為に刀を振り抜いた為、彼のお腹はがら空きだった。そこ目掛けて、チャクラを溜めた拳で、一気に振り抜いた。
「せいやっ!」
ドスッという鈍い音を立てて、敵はふっ飛んだ。それと同時に、私は体を捻りつつ、左手で手裏剣ホルダーから手裏剣を取り出す。体を捻る力を利用して、その手裏剣を右斜め前にいた別の敵に向かって投げつける。
「ぎゃあっ!」
敵の腕と太ももに突き刺さり、悲鳴を上げた。私は体をその悲鳴を聞く頃には、近くの岩を蹴って、敵の真上に躍り出ていた。クルっと体を捻り、渾身の踵落とし!ガッという鈍くも鋭い音がして、敵は意識を失った。私はそこから一転し、体勢を立て直して、周りを見た。
敵の殆どは、既に倒されていた。ただ、一人だけが息を荒くして立っていた。
「くそがぁ!何でここがバレた!!」
敵は息を整えて、叫ぶ。それに相対していた隊長が、答える。
「君のお仲間が教えてくれたよ。」
その言葉に、彼は驚きの表情を見せた。でも、すぐにその表情は“怒り”へと変わる。
「あいつかぁ!ヤジロベェか!許さねぇぞ、あいつぁ!昔は仲良くつるんでたってのに、女が出来たからって調子乗りやがって!仲間を裏切りやがって!」
ヤジロベェ・・・たぶん、ざしきワラベさんの事だよね。彼の名前は、暗号のための偽名だったからだ。
「くそっくそっくそっー!裏切りやがって!」
彼は叫ぶ。その叫びに、私の鼓動は限りなく速くなる。“仲間を裏切った”その言葉が、どうしようなく胸に刺さる。
敵は、隊長に背中を向けて走り出した。一目散に洞窟への入口に向かい、あっという間に中に入ってしまった。
その瞬間・・・
「土遁 岩宿崩しの術!」
隊長は素早く印を結んで、地面に両手を着けた。それと同時に、地面が揺れ、敵が逃げ込んだ岩が割れ、大きな音を立てて崩れていった。その大きな音の中に、小さな悲鳴が聞こえた。土煙がもうもうと立ち上がる中、任務は終了した。
「へへっ、ありがとな!これで、あいつも気が晴れるだろうよ。」
任務終了の報告をした後、ざしきワラベ、もといヤジロベェは、そんな事を言い出した。彼の妻は確かに、気が晴れるかもしれない。でも、それを言われた私は、何も晴れる事なんてなかった。むしろ、どす黒い雲が広がっていく。
「ヤジロベェさん、その事はあんまり言わない方がいいと思いますよ。・・・仲間を裏切ったなんて。」
隊長が、静かに反論した。
「あ?あいつらが悪いんだぜ?」
「確かに、あなたの妻を殺したのは悪いでしょう。でも、元々は仲良くしていた仲間ですよね?どういう形であれ、そんな、死んだ人間の悪口なんてやめましょうよ。」
その言葉に、彼は笑い出した。低く、下劣な笑い方だ。
「仲間つったって、あんな事をすれば、
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