第十八話 葛藤
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、暖かくて、そして綺麗だった。
周りを見渡すと、まだ、明るくはなっていない。時計を探す。まだ、朝まで時間があった。お母さんは、居間にある、いつも食事をする机に向かって椅子に座っていた。こちらに背を向けているので、どんな表情をしているのか、起きているのか、寝ているのか、何も分からない。
「お母さん・・?」
私は、遠慮がちに話し掛けた。お母さんは、その声に体をビクッと震わせた。そして、少し間をあけて、答えてくれた。
「ごめん、ごめんね、ハナ。」
でも、それは謝罪だった。泣いているのだろう、震える声で、振り絞ったと言う感じだった。
「お、お母さんは何も悪くないよ。悪く・・な・・」
お母さんを励ましたかった。泣いて、辛そうな背中をしているお母さんを。でも、私は途中で声が出なくなる。声の代わりに、嗚咽だけが出てくる。お母さんは、振り返って、私の方まで駆け寄ってきた。そして、抱き締めてくれた。とても、強く。それと同時に、私の涙は止まらなくなった。大きな声をあげて、流れ続ける涙を拭くともなく、ただ泣き続けた。お母さんも一緒に。
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1時間後
街道 茶屋“乃色屋”
菜野ハナ
茶屋“乃色屋”、藁葺きの屋根に、白い塗り壁、とても古い印象を見せるこの茶屋は、創業して80年以上になるらしい。とても、古い歴史があるそうだ。出してくれるお茶の器も、どこか奥深さを感じるようなものだったから、たぶん本当かな。そんな茶屋で、私達は協力者と接触した。
「あんたが、木ノ葉の忍か?」
私達の目の前に座る、何処にでもいそうな服装の30〜40位の男が問い掛けた。彼の目の前には、お茶と三色に彩られた団子が置いてある。
「そうです。あなたのお名前、お聞かせください。」
トバリ隊長が、自分のお茶を飲みながら答えた。これは、暗号だ。お互いを認証するための。彼は、表情を変えずに答える。
「ざしきワラベと言う。ざしきの“ざ”は、戯れ言の“ざ”。」
彼は、視線で隊長に続きを促す。
「ざしきの“しき”は、色の“しき”。」
隊長は、そう答えた後、灰色に近い色をした布を取り出す。そして、それを机の上に広げた。それに対して、ざしきワラベと名乗った男は、細長い枝のような緑色の物を取り出した。それを机に置かれている布の上に置く。すると、たちまち緑であったその細いものが、布の色に合わさるように色を変えた。それを見た隊長には、後ろに座って警戒していた私達に、こちらに来るよう合図した。私達が、隊長の隣に座ると、話が再開された。
「敵のアジトの場所、規模、武器の有無とその中身を教えて欲しい。」
トバリ隊長が、先に話し掛けた。ざしきワラベは、小さく頷いてから、話し出す。
「アジトは、ここから北
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