暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第八四幕 「映画館ではお静かに」
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話らしい。現に今、箒の目の前にはその類の男が酷く低俗な笑みを浮かべて人の肩を掴もうとしている。思わず眩暈に襲われそうになる。
私こと篠ノ之箒は、別にこんな女を物としてしか見ていなさそうな品の無い男達にナンパされるためにおめかしをしたわけではない。煩悩が筒抜けな顔をするような男達に構ってほしいからこんな場所に立っている訳でもない。故に、その男にどれほど誘いを受けても褒められても全く嬉しくないし、むしろ嫌悪感を抱く。
「なぁ、ちょっと行ってみようぜ?この先に美味いクレープ屋が・・・」
「何度も言っているが、私は此処で人を待っているんだ。余所を当たれ」
「そうつれないこと言わずに・・・さあ!」
強引に連れていけば女が納得するとでも思っているのだろうか?はた迷惑に思いながらすっと体を逸らして肩を掴もうとする手を躱す。正直、気安く触れるなと叫んで殴り飛ばしたい気分だった。躱された男はなおも軽薄な笑みでこちらに近づくが、こめかみの血管が軽く動いたところを見ると短気でもあるらしい。
――いっそ蹴り潰すか?そんな考えが頭をよぎるが、これからのことを考えるとその行為で体が汚れる気がして、何となく気が引けた。既に周囲はこの以上に気付いて視線が集まりつつある。少し集合時間より早く聞過ぎたことが、こんな結果を招くか・・・と箒は自分の不運を嘆いた。
いっそのこと通報もありだ。女性優遇社会になってからこの手の件に関して警察の手際はかなり良くなっている。少なくともこの男の聞きたくもないナンパを避ける手段としては有用だろう。
「・・・そんなに避けなくてもいいじゃん?勿論俺の奢り――」
「甘いものは嫌いなので」
「じゃああっちの屋台に行こう!向こうの角にあるコロッケが――」
「ダイエット中なので」
いい加減しつこい。この男、見た目で人をか弱い女と判断しているの自分が主導権を握りたいのかは知らないがどこか上から目線である。これで人数が多かったらなお鬱陶しいし、群れて変な自信をつけた男は一度追ってやらないといつまでも付き纏うので面倒だ。・・・そう考えたのがいけなかったのか、ナンパ男が増えた。
「どしたの?・・・お!この子超美人じゃん!!」
「いやー可愛いねー!どこの学校?」
馬鹿が二人追加でバカトライアングルの完成だ。もはやこの鬱陶しさに耐えられなくなった箒は硬く拳を握りしめ――。
「――こらこら、簡単に暴力に頼っちゃ駄目だって言ったろう?」
「あ・・・」
後ろからぽん、と肩を叩かれた。その声はここ数か月、電話の音声だけでしか出会えなかった男の声。箒がもっとも今の自分を見てほしかった男の声だった。
「あん?何よアンタ?」
「この子の彼氏やってます。と言う訳で、引いてもらえませんかね?」
あからさまに機嫌
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