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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第八三幕 「デート・オア・アライブ」
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は厚底のシューズを履いている。彼女も・・・というかユウも含め全員注目を浴びていた。仕方ないと言えば仕方ないのだが。
いったいどんな魔法が働いているのかIS学園の生徒は誰も彼も平均以上に容姿の整った子が多い。そんな子ばかり3人でしかも一人の男を囲っているとなると嫌でも悪目立ちするだろう。周囲のひそひそ話や男性からの嫉妬の目線でユウは内心けっこう疲れていた。女性が男性を囲う光景は女性優位の現在では時々見る光景なのだが、やはり物珍しさはあるらしい。
幸い3人はそこそこ楽しそうに会話していてトラブルはないのだが、ユウの事をつららが「先輩」、癒子が「師匠」と呼んでるものだから周囲がユウ達をどんな関係なのか測りかねているのが感じ取れて余計に居心地が悪い。
ちなみにユウはグレーのパーカーに藍色のパンツ、ついでとばかりに伊達眼鏡をかけている。眼鏡の理由は簡単、彼が男性IS操縦者だと分かりにくくするためのつららの作戦だった。
「にしても、伊達眼鏡一つで案外ばれないものだね」
「人間の記憶力なんてそんなものです。そっくりさんというほど似て無くても有名人のふりをして詐欺を行う人もいれば、本物なのに偽物ではないかと勘繰っちゃう人もいます」
「それに、世界的VIPである師匠がこんな映画館に映画を見に来てるなんて普通の人は思いませんしね!」
ふふん、と自慢げに話すつららに癒子が同意を示す。ちなみに癒子の師匠呼ばわりはジョウにも及んでおり、2人で立っているとダブル師匠などと呼ばれることもあったりする。やがて、ビー・・・という音とともに部屋のライトが消え、映画を見る際の注意事項が放送された。そろそろだ。この映画を観終わったら買い物。まず間違いなく女性水着売り場まで引っ張られることになる。
その時までの死刑執行猶予期間に、せめて映画くらいはゆっくり楽しもう。もうそろそろ映画が始まる時間だ。そう気を取り直した所で、右手に暖かいものが触れる。
それは壊れ物のように華奢で白い、人間の手――簪の手だった。きゅっと控えめに握られた掌。突然の行動に驚き思わず簪の方を見やると、スクリーンに反射した光が照らす彼女の顔は微笑んでこちらを見ていた。ドキリ、と心臓が鳴る。
「もうすぐ始まるね・・・」
「う、うん。そだね。なんかちょっと緊張するなぁ」
「私も、昨日は楽しみで、なかなか寝付けなかった」
麻痺していた女性との距離感が、突然実感として押し寄せた。癒子とつららの二人には手が繋がっている所は見えていない。繋がった掌を通して簪の体温がジワリと伝わってくる。そこそこ一緒にいる期間は長いが、簪が自主的にこちらの手を握るなど初めてのことだった。
自分が驚いているのか、恥ずかしがっているのか、それとも嬉しいのか。感情がぐるぐる頭の中で回転する。
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