暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第八二幕 「日常に潜む命の危機は案外しょうもないもの」
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ることに気付いたのはごく最近だった。

一夏はまだまだ弱い。模擬戦でも勝ち星を取れることは殆ど無く、今だ黒星が多いのが現状だ。加えて最近はユウの風花のパワーアップに、つららの専用機の話まで持ちあがっている。白式のスペックを十分に引き出せていない今のままでは、千冬を護るという目標どころか自分の身さえ満足に護れないだろう。

(もっと強く。もっと早く・・・焦ってもしょうがないのは分かるけど、やっぱり悔しいんだよなぁ)

ここ数年忘れかけていた“勝利への渇望”。最近一夏の心に復活したその炎が、僅かながら一夏の心を焦がし始めていた。
ふと、時計を確認した箒が眉を顰める。時計の針は7時半を過ぎを指していた。

「どうした、箒?」
「いや・・・すまんが私は一足先に上がらせてもらうぞ」
「ああ、あれか。外に出かける用事があるんだっけ?」

何の用事か一夏は知らないが、朝早くから準備をしていたということはそれほど時間に余裕は無いのだろうと推測する。当の箒は「お前は何を言っているんだ」とでも言うかのように――。

「・・・お前も行くんだろう?鈴と」
「・・・・・・」
「・・・?お、おい織斑よ何だその沈黙は?」

突然のフリーズにラウラが疑問を呈すが、この瞬間既に箒は一夏の脳内で何が起きたのかを悟った。こいつ――罰ゲームの件をたった1日で忘れおったのか!?そしてたった今思い出した・・・そんな顔だ!
果たして、箒の読みは正解だった。次の瞬間、一夏の額から夥しい脂汗が浮き出る。

「集合時間8時だったの忘れてた・・・!やべぇ、殺される!?」
「い、いや!まだだ!今から走って部屋に戻ればギリギリで・・・!」
「急げ一夏!鈴のことだ、待ちきれずにもう集合場所でもじもじしてるぞ!!」
「何でか知らんがその姿すっげぇ想像できる!?」

危うくこのデートに状況を持ち込んだ協力者二人がデートの邪魔をする結果になりかけたが、辛うじて準備の間に合った一夏はかなりギリギリで待ち合わせの時間に間に合ったという。なお、流石の一夏も鈴の「全然ぜんぜ〜ん待ってませんよ〜〜〜だ!!」の一言に彼女の心情を察したらしい。
俺、今日どれだけ貢がされるんだろうか?と不安になりながら、不機嫌半分嬉しさ半分でこちらの手を引く鈴に為されるがまま歩く一夏であった。

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