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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第八二幕 「日常に潜む命の危機は案外しょうもないもの」
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た箒を訝しげに思いつつも、真相に気付かず「ま、いっか」の一言で片づけてしまうような超絶鈍感人間なのだだ。
他人の色恋沙汰では多少勘が利くかと言えばそう言う訳でもない一夏は、その話題を盛大にスルーした。

馬鹿な奴で助かった、と箒はそっと手に持っていた服を一夏の見えない位置に置いた。
実際には一夏も今日、事実上のデートなのだが。



 = =



浅く息を吸い込み、浅く吐き出す。ここ最近はすっかり慣れてしまったこの緊張感に身をゆだね、ひたすらに集中する。零拍子に到る為の下積みはまだまだであったが、毎日の鍛錬は決して無駄にはならない。天才を自称するジョウさんでさえ鍛錬は絶対に怠らないのだから、この毎日の積み重ねは本当に大事なものだと実感できるだろう。

剣術は抜身の日本刀。ほんの少し手入れを怠っただけでも錆び付いてその輝きを曇らせる。努力を続けずともベストパフォーマンスを発揮しているファンタジーのキャラは嘘っぱちだ。

「始め!」

箒の宣言と共に対戦相手のラウラがすり足で前へ出る。竹刀同士が相手の喉元を狙うように構え――。

「はっ!!」
「ふっ!!」

間一髪で面狙いの一振りをいなす。ついで二撃、三撃。どちらも剣道をかじって一か月もたっていないとは思えない速度だが、どこか狙いがスポーツチャンバラに近い印象を受ける。それは実戦を想定してならば決して悪い事ではない。エネルギー刃ならば力が籠らずとも当たればよい。IS戦は地に足付いた戦いを出来ない事も多いのだから当てるという行為は重要になる。しかし、剣道ならばそれは悪手だ。
チャンバラとは踏込の重さと速度が違う。恐らくこの手の武器の扱いに慣れていないのだろう。間合いは取れているようだが、そんな素人に負けていてはそれこそ姉に叱られる。――四撃目は振りが甘いな。そこだ。

「やぁぁぁーーッ!!」

力の流れに逆らわず最低限の動きで竹刀を弾き、間を開けず深く踏み込んで面を叩いた。すぱぁぁぁん!と小気味のいい音が剣道部の道場に響き、一瞬遅れて箒の白い旗が揚がる。一本、俺の勝ちだ。



「いやはや、勝てんな」
「当然だ。経験の差が違うからな・・・それに一夏とて県大会に出る程度の腕はある」
「おぉう、俺の腕は今その辺なのか・・・」

面を外して一息つくラウラの呟きに、現在この3人の中で最も剣道が強い箒が返答する。一夏としてはこの学園に入って相当力をつけたつもりだったのだが、箒の目から見ればまだまだ未熟者のようだ。それもしょうがないだろう。一夏は子供の頃から剣道をやっていたが、中学に入ってからはバイトに精を出してやっていなかったのだ。少なくとも残間兄弟との組手で立ち回りは鈍っていないと思っていたが、それは小学校時代からあまり進歩していないという意味であ
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