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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第八二幕 「日常に潜む命の危機は案外しょうもないもの」
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夏だ!ニセも間違いも入り込む余地はねぇんだよ!!」
「それでも、一夏ではない」
「このヤロっ・・・!!」

無表情のまま淡々と喋るベルーナに、あからさまに気分を害したあいつが反論する。明らかに2者の争いは平行線を辿っていた。

「大体てめぇは何だ!?ここに他人は “あのくそガキ”しかいないんだよ!!それを勝手に入ってきて我物顔か!?不愉快だ、ここが現実ならお前のその細い首をへし折ってやりたいくらいにな!!」
「こちらは一夏を知っている。お前は一夏ではない」
「気味が悪いんだよ・・・お前の言う“一夏”はよぉ!!今ここで思考して行動して一夏と呼ばれているのは“俺達”だ!!てめぇがでしゃばるのは筋違いなんだよ!!」

本気で人を殺しそうな剣幕で額の血管を浮かび上がらせるあいつと、それでもなお顔色一つ変えないベルーナ。あれは本当にベルーナなのだろうか?毅然とも無感情とも取れるその姿はまるでそう、別の誰かがベルーナの身体を動かして喋っているようだ。そんな俺の視線に気付いたあいつがこちらに顔を向ける。

「言っただろうが、見てくれに騙されんなって。見た目はカワイク見えてんのかもしれねぇが、こいつは――」



 ――ふたりとも(かえ)って。(いちか)を惑わせないで。



矢張り、何度か聞いた事のある声だ。確かあいつに体を動かされてたあの時は、この声に助けられた。声を聞いたあいつは心底不満そうにではあるが、渋々と言った態度で背もたれに身を投げた。

「けっ。いつかはぶつかる壁だろうに、相も変わらず過保護だねぇガキんちょよぉ?まぁいいさ・・・そいつも纏めて締め出すんなら文句は言わねぇ」
「・・・・・・」

何も言えずに傍観するしかなかった俺の意識が急速に遠のく。抗いがたいその流れに呑み込まれる直前、ベルーナの姿をした少年と目があった。

「――――」

こちらを指さして何かを言っているが、俺にはもうそれが何を言っているのか判別がつかなかった。



= = =



「・・・あー、今何時だ?」

とても悪い夢を見たような気がした。
まだ朝早くで気だるい肉体を起こして顔を洗うために立ち上がる。隣を見ると既に箒は目を覚ましていたのか朝練用のジャージに着替えて何やらやっていた。普段ならたたき起こされるのに、珍しい事もあるなと思いつつ声をかける。

「おはよう、箒。なにやってんだ?」
「ああ、おはよう一夏。いやな、今日少し出かける用事があってな・・・」
「へー。例の先輩とのデートとかか?」
「そそそそそそそそそのようなアレではないぞ?全然決して違うぞ?」

虚勢を張る前にそのロボットの様なカクカクした動きを直してはどうか、と他人ならば思う所だが、この男は一味違う。そんな挙動不審になっ
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