勝手に25巻(にあたる部分) 第一話
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
う」
「ならいいじゃないですか。それとも陛下や私の言っていることが信じられないとでも」
チラッと天剣を見せる。グレンダンの女王と三王家の一つロンスマイア家の跡取りにして天剣授受者である自分の言葉に疑いがあるのか、と。
口調こそ軽いがグレンダンの人間にとっては殆ど立派な脅迫である。
だが。
「確かにグレンダンであればそれでよいのですがクラリーベル様、ここはツェルニです。それでは誰も納得出来ません。私も学生とはいえ武芸長としてこの都市に対する責任があります。はい、分かりましたとは申せません」
目論見を真っ向からねじ伏せるゴルネオの正論にぐうの音も出ないクララ。
「分かりましたよ、それでエルスマウさんからはどんな風に聞いてるんです」
ゴルネオが主として、レウが時々補足しながら聞いたことを伝えていく。
「それで全部ですよ。そのうちレギオスが動きを止めて代わりに外の汚染物質も無くなる。だからそれに備えましょうって事です。理由ですか、そんなもの知りませんよ、私が何かするんじゃないんで」
結局のところ伝えられていた以上の事はクララ達にも分からない事だったのでゴルネオらにしても目新しい事はなかった。
「では会長、武芸科はこれまで通り汚染獣に備えるとして他の科はこれからの問題に対しての解決を図る、という事でいいな」
「え、えぇっ」
いきなり話を振られ狼狽えるサラミヤが横にいるレウに助けを求めるように降りあおぐ。
「う、うん。じゃそういう事でいきましょう」
小さく頷かれると勢い込んで答える。若干不安に思ったニーナがレウに視線を送ると諦めを含んではいるが頷かれたので安心して視線を戻す。
それで解散かと思われたがそうではなかった。
「一ついいか」
帰ろうとソファーから立ち上がりかけたニーナとクララをゴルネオが呼び止める。
「私事で済まないが兄さん、サヴァリス・ルッケンスはどうしたのですか?」
「先程の戦い、見ていたのでしょう。ならわかるはずですよね」
「ですが怪我をしていてということも」
暗に言うクララに信じたくないのか言葉を継ぐゴルネオ。
「ならはっきりと言いましょう。亡くなりましたよ、サヴァリス様は。サヴァリス様だけでなくあなたの知っている天剣であの場にいなかった方、全員がですけどね」
それを聞いた瞬間、ゴルネオの顔から血の気がすべて失せた。
それも当然だとクララは思う。グレンダンの者であれば天剣の絶対性を信じているし、身近に天剣がいる武芸者であればその力が強力無比であることを理解しているからだ。
ゴルネオもサヴァリスという兄によってその辺りの事をよく理解している。なればこそ自分の兄が、多くの天剣が死亡したことが信じられないし信じたくもないのだ。だが現実が変わる筈もなくまたゴルネオも呆けている事を許
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ