勝手に25巻(にあたる部分) 第一話
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投げて寄越したものを反射的に受けとめる。何かと思うとそれは待機状態の錬金鋼だった。訳のわからないニーナに衝撃的な言葉が降りかかる。
「あいつが使っていたのと同じ物、形見みたいなものよ」
「何故先輩の錬金鋼を貴様が持っている」
「私が与えたからよ、あなただってツェルニに貰ったでしょう。あなたはツェルニの好意で、あいつは私が犬として拾った程度の違いでしかないわ」
グレンダンでツェルニからメルニスクの剄にも耐えられる錬金鋼を与えられたニーナ、かつてメルニスクでニルフィリアによって牙と鎖を与えられたディクセリオ。
この一致と不一致は、そしてメルニスクが介在するということは何かの偶然か、それとも必然だったのか。
真実どちらであるかは分からないが、人はそれを運命とも呼ぶものである。
「それじゃツェルニ、また来るかもしれないわ」
ニルフィリアに闇が纏わりつき次第にその色を濃くし、その姿を埋没させていく。
「待て、これからお前はどうする気だ」
「それはあなたには関係無いことよ。それはあなたにあげたから使うなり捨てるなり好きにすればいいわ」
それを最後にニルフィリアが消える。
「ツェルニ、彼女は放っておいて大丈夫なのか」
耳からでなく頭の中に直接ツェルニの声が響いてきた。
『彼女は自分に正直な人、誰も彼女を制することはできません。ですが大丈夫、私は彼女を信じています』
そう常のように春の日差しのような暖かな微笑みを浮かべるのだった。
「そうか、ならば私はなにも言うまい。それよりもあれでよかったのか」
ツェルニのニルフィリアに対する考えを疑ってもしょうがないことである。そんなことよりこの結末にたいしてツェルニがどう思っているかの方が気になる。
『私はニーナ達が自分の思いのままに出来たのならそれでいいの』
大事なのはツェルニに住む者達がそれぞれの意思を全うできるかだという。
人を育てる学園都市の電子精霊にふさわしい言葉である。
「それならば問題は無いが……」
「見つけましたよ隊長」
「フェリか、どうした?」
いつもの花弁状の形をした念威端子が頭上に浮かんでいた。
「呼び出しです、生徒会長室まで来てください」
「やれやれ、仕方ない。また来る」
ツェルニの笑顔に送られて機関部を出たニーナが生徒会長室につくと会長であるサラミヤ・ミルケに加えて副会長のレウ・マーシュ、武芸長であるゴルネオ・ルッケンスのみならずクララまでがいた。
「それでなんの為に私を呼んだのでしょうか?」
「そんなもの決まっている。さっきの戦いの顛末を聞くためだ」
「だぁかぁらぁ、エルスマウさんから話がきている筈ですよね」
「確かにキュアンティス卿からの情報もあるが、だからといって実際に出ていたお前達の話を聞かんわけにはいかないだろ
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