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王道を走れば:幻想にて
第三章、その4の1:策謀の実行
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に続くビーラも、そのトカゲの顔付きににやりと微笑を浮かべている。奇縁による不可思議で法悦的な友情が、久方ぶりの温かみのある思いを彼の心に与えていた。





   

『・・・』
「・・・ふぅ・・・」

 朝食のフォークを進める手を止めて、キーラは朝焼けの差し込むリビングで小さな溜息を漏らした。好物である焼きマトンのローストも二切れほど食べて進まなくなってしまった。
 それには二つの訳があった。一つは、最近の寝不足のためだ。宮廷に赴けぬ以上主に魔道について勉励を重ねているのだが、如何せん応用知識が無いだけにその勉学も停滞気味なのだ。せめて教師が居れば話は別なのだが、彼女の家ではそれを雇う状況ではないのは火を見るより明らかであった。
 そして二つ目。この貧窮なる家庭内に漂う歪な雰囲気だ。思えば、それは母ミントが何処とも知れぬ場所に行った翌日から漂っていた気がする。あれ以降ミントは日をおいては家を空ける事が多くなり、其の度に帰宅時には妙に疲れた表情で帰ってくるのだ。その手に金貨の詰まった袋を持って。そのお陰で近頃は新鮮な食材や衣類を買える事が出来るのだが、如何にも納得のいかぬのがキーラの正直な心でもあった。

「・・・なぁ、ミント」
「なんでしょうか、旦那様」
 
 会話をしようとミラーが声を掛けるも、温かみの欠けた返事を受けて一瞬言葉に窮した。キーラは溜息を漏らしかける。

「・・・最近疲れていないか?どうにも、精彩を欠いているような印象を受けるのだが」
「旦那様。それは旦那様も御一緒に御座います。ほら、目の下に隈が出来ていますわ・・・。ちゃんとよく眠っていますか?」
「まぁその、最近は政務を頂けるよう務めているからな・・・。だがそのお陰でだ、今度ブルーム卿の政務に協力する事となったのだ」
「本当ですか?あの老練なブルーム郷と?」
「ああ、嘘は言わんさ!なんでも、北方領における治安情勢やエルフ達との外交関係を確認ようだ。彼らはどうにも詩的な精神を持つ種族。其処で、私の出番という訳だ」
「おめでとう御座います、旦那様。私達ブランフォード家の名誉は、旦那様の御活躍を以って回復する事でしょう」
「ああ!私達の生活も、もっと良い方向へと改善されるだろう!」

 喜びを上げて二人は笑みを浮かべた。それは確かに偽らざる本音から湧き出た笑みであろう。しかし如何にも取り繕った感じが否めない、瞳が微動だにしない微笑であった。
 キーラはその空気の中に飛び込む勇気を持って、おずおずと話し出す。

「・・・あの、お父様。お願いがあるのですが」
「うん?何かね、言ってみ給え」
「・・・今日、街では大きなお祭りがあるそうな・・・国王陛下が開きたいと仰せになられた」
「ああ、そうだったな。異界の若人がロプスマで開催した
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