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英雄王の再来
第5騎 トルティヤ平原迎撃戦(その2)
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ただ、貴方はもう、普通じゃない。今、私達が貴方を解放したとして、何も無しに帰れますか?」
その言葉に、唾を飲み込んだのが分かった。

「あの混乱の中、功を焦るばかりにミルディス州軍は進軍し続けた。それは、あの混乱を助長させた・・・そう、言われてもおかしくはないでしょう。」
私は立ち上がり、彼の側に立つ。傍にいたアレスセレフとトレェルタが、警戒の為か、鋭い視線を総督に向ける。私の言葉と、2人の鋭い視線を感じてか、呻きながら答える。

「だ、大丈夫だ。トルディ将軍の信に厚い私なら、すぐに向かえ入れてくれよう。」
本気で思っていないのが、直ぐに分かる程に目が泳いでいた。どうやら、彼はトルディ将軍の事を良く思ってないらしい。

「本当ですか?トルディ将軍は、気に入らない人間の首を撥ね、保存、観賞を好むと聞いています。貴方もその1つに加えられなければ良いですが・・・」
彼は、その言葉に顔面を蒼白にする。何故か、その隣にいたヒュセルまでも蒼白になっているのは、理解出来ないが。

「何か、“お土産”でもあれば、許されそうですけどね。」
彼は、先程から私を見ようともしない。ここまで追い詰めてはみたものの、特にこの話題から引き出す事はない。もう一度、話を戻して聞く事にする。

「総督、教えて頂けませんか?何故、アカイア王国がこの時宜を選んで、侵攻してきたのか。」

「・・・・・」
彼は、依然として答える気はないようだ。私は、彼の真正面に立ってから、小さな声で、しかし、強い意味を持たせて問い掛ける。

「では、アカイア王国が、チェルバエニア皇国に“和平の使者”を送ったと言うのは本当ですか?」
勢いよく、顔を上げる。その目は、顔は驚愕に満ちている。何故、知っているのかと・・・。私は、その表情につい、苦笑してしまう。

「し、知らぬ!そんな事は知らぬ!」
彼は、苦しげにそう答えた。だが、もう遅い。その反応だけで、答えを貰ったようなものだ。

「・・・そうですか。まぁ、いいですよ。トレェルタ、彼を賓客として遇する。部屋を用意させて欲しい。」
私はそう言ってから振り向き、再び椅子に座ろうとする。しかし、それを“怒気”を孕む声で遮られた。

「賓客だと!?ふざけるな、エル!こいつは、敵だぞ。即刻、首を撥ねるべきだ!」
ヒュセルは、顔を真っ赤にして、そう叫んだ。敵対しているとは言え、それなりの身分にある者は、捕虜となってもそれなりに遇するのは当たり前だ。でなければ、捕まえた方の民度を疑われかねない。しかし、ヒュセルにとってシェルコット総督は、自分に恥を掻かせた張本人なのだ。それを許すような行為は、耐えられない。そう言う事なのだろう。
 私は、それに少しばかりの“憤り”を感じながらも、何もない風を装って椅子にゆっくりと座る。私から
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