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英雄王の再来
第5騎 トルティヤ平原迎撃戦(その2)
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こちらも、それに合わせて、トルティヤ平原とシャフラスの間にあるシャプール砦まで撤退した。取り敢えず、アトゥス軍の一難は去ったと言える。これも全て、私の隣にいるエル・シュトラディール王子のお陰だろう。彼が考えた作戦は、誰もが思いも因らないものだった。そう、考えている内に、王子の前に、今回の作戦の“立役者”が4人、姿を現した。

「エル様、只今、帰還致しました。」
4人を代表して挨拶をしたのが、レティシア・ヴェルムである。この土地には珍しい緑がかった黒髪を、首元辺りで一括りに結んでいる。顔は、女性のように白く、知的な印象を与える。年齢は、31歳。

「いやー、もっと戦える場が欲しかったですよ、エル様。」
そう、生意気にも答えるのは、ジムエル・シャルスベリアだ。茶色い短髪が特徴で、まだ、その顔にあどけなさが残る18歳。

「ふふ、そうか。なら、次はしっかりと用意しよう。」
エル様は、優しく微笑みかけて答えられた。お優しいな。ジムエルは、あのように口が悪いところがあるのが問題だ。しかし、軍略に関しては、光るところがある。

「二人とも、良くやってくれた。もちろんの事、褒美を与える。何が良いか考えておいてくれ。」
今回の功は、彼らにある。アカイア軍に突撃させた“馬”は、彼らが連れてきたのだ。シャフラスを出立する前より、エル様からレティシア、ジムエルにそれぞれの百騎を有効に使い、2万から3万の“馬”を集めて戦場に急行せよ、と密命があったのだ。その“馬”は、エル様が10歳の頃から集めて育てられていたものと、野生に生息するものを集めたもの。騎兵を管理する我々には、“馬”を統率する事など、容易な事だ。そして、その“馬”を敵の両翼に、レティシア、ジムエルの2百騎と共に突撃させた。つまり、今回の作戦は、少数を多数に見せたのだ。霧と言う視界の悪さ、“馬”の突撃力、敵の混乱の誘発等を有効に使った作戦だ。ただ、これは今回の戦闘が始まる前にエル様が準備させたもの。どうやって、敵が大軍で来ると情報を得たのか、私達も知らない。
 レティシア、ジムエルが退席した後、エル様の御前に残るのは2人。今回の作戦時、斥候と煽動をした者だ。

「2人共に良くやってくれた。そなたらが居なければ、この作戦は成功足り得なかった。名前を聞かせてくれるかな?」
エル様は、そう静かに、そして優しく言われた。声を掛けられた2人は、驚き戸惑うように顔を見合わせた。この2人は、王族に声を掛けられる事がないほどに、地位が低いのだ。

「2人共、エル様はお優しい御方だ。何も取って食ったりはせん。」
私が、助け船を出した。その言葉に、エル様は苦笑されている。

「あ、わ、私は、ルチル・ラウリラと申します。」
光に照らすと赤色が挿す長い茶髪に、白い肌が特徴の女の子だ。歳は、16、7位だろ
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