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王道を走れば:幻想にて
第三章、その3の2:前に一歩 ※エロ注意
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えて言いますと、騎士達の鎧は間接部分が簡単に曲るよう作られてますから、大した力を入れなくとも意外と鎧は言う事を聞いてくれるのです。ですが無理して力を籠め過ぎて動こうとすると、鎧全体の重みと、思った通りに自由の利かぬ身体に苛まされて、結果として余計な体力を消費するでしょう」
「えーと、つまりです。最小限の動きと疲労で敵を制圧できる力があるから、利用して戦え事ですか?」
「御賢察の通りです。目の前のあの者達は大半が出来ていないのが残念です」
「俺も無理よ、無理」

 慧卓はそう言って宙で手をひらひらとさせた。想像するも酷な話である。重装に身を包んで戦地を駆け抜けるなど。裏方でひっそりと頑張りたいのが本音である。

「では、そんな御聡明なケイタク様をお祝いして、一つ姉上がクマ様と剣による訓練を見せていただけるようですよ。クマ殿との一騎打ちだってやってくれるそうです」
「そうなんですか?」
「ちょちょ、ちょっと待て!アレと私が戦うのか!?何を勝手に決めているんだ、お前は!!」
「だって姉上、前から戦ってみたかったんでしょう?勇猛な古豪や、伝説の武人と」
「うぐっ・・・そ、それは騎士としての一縷の願いというか、叶わぬ夢を追い求める乙女の小さな心というか・・・」
(戦うのが大好きな乙女ってなんだよ?)

 而して突っ込むのも吝かである。妙にもじもじとしたアリッサの姿が可愛らしいからだ。トニアは外堀を埋めるように言葉を続ける。

「姉上、いや、アリッサ様。私が知っているアリッサ様は決して最後の最後、相手の剣が己の心臓を貫く其の時まで、諦めと絶望を知らぬ強靭な騎士の筈です。そんな騎士が勇壮なる敵を前にして、戦わずして逃げるという選択肢なんて思いつく筈も無い筈ですわ」
「うぐぐっ・・・」
「それにですね・・・」

 トニアは一気に詰め寄りアリッサの耳元に何事かを囁き始めた。にやけ面の彼女の言葉にアリッサは瞠目して慧卓を見遣る。そして如何した事か頬を火のように紅潮させてつかつかと慧卓に近寄って来た。

「ど、どうしました、アリッサさん?」
「ケイタク殿っ!!」
「はっ、はい?」
「よく見ておいてくれっ!!私の颯爽たる剣捌きをっ!!私の勇気の一歩をっ!!!」
「えっ・・・あ、もう行っちゃったよ・・・」

 言うなり彼女は慧卓に目もくれずに熊美の元へと爆走する。慧卓が困ったように目の下を掻いている中、アリッサは颯爽として騎士達の間を駆け抜け、中央に威風堂々たる姿を見せ付ける熊美に相対する。

「クマ殿、是非私にも御教授の程をお願いしたく!!!」
「その意気や良しっ!お前達、場を開けてくれ!!」

 多くの者達は助かったといわんばかりに脱兎の這いで場を開く。一部の者は悔恨と期待の篭った瞳でアリッサを見遣っていく。それを
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