暁 〜小説投稿サイト〜
王道を走れば:幻想にて
第三章、その3の2:前に一歩 ※エロ注意
[7/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
う美麗な騎士、アリッサであった。白銀の甲冑姿が実に凛然として美しい。

「どうしたんです、姉上?」
「何か用ですか、姉上?」
「ケイタク殿も乗らないでくれ!はぁ・・・トニアよ。今日は私がケイタク殿と共に、王国に関わる王立の学院やギルド、それに研究機関についての講義をするといったよな?」
「そうでしたね。騎士なのに。侍従に任せればよかったのでは?」
「そ、そういう事は関係ない!トニア、なんで彼を騎士団の訓練にまで引っ張ってきたんだ?」
「・・・言ったら、きっと怒りますよ?」
「構わん」
「面白そうだったから」
「こいつめっ・・・!!」
「ほーらまた怒ったぁ。剣はだめですよ、姉上」

 赤髪をひらりと揺らす悠々として反省が欠片も感じられぬ言葉に気を削がれたか、アリッサは剣へと伸ばしかけていた手を引っ込める。押し時と心得たトニアは続ける。

「良いじゃないですか。三十年前の戦争で無双を誇ったクマ様の武ですよ?観ない方が損というか」
「損得の問題ではないのだ。騎士団の訓練は日常的にあり、王都への御帰還以降クマ様も時々参加して下さっている。これからもその心算だとあの方は仰っていた。時間さえあればいつだって見れるだろうが」
「そうですけどね、生憎ですがケイタク様にそれほど時間はありませんよ?」
「えっ、どういう事でしょう?」

 突然振られた会話の槍に慧卓は気の抜けた返事を返す。トニアは段々と悲鳴を治めていく広場を見遣りながら言う。

「先の賊軍討伐に功を奏した方々に対する論評会が、先日ありました。その結果、ハボック様や姉上は勿論の事、異界の方々にも酬(むく)いあるべしという意見に落ち着きました」
「酬い?」
「有体に言うと、宝剣や領地の授与とか、官位の格上げとか。ですがその前に一度、現在何の位にも就いていないケイタク様やクマミ様を王国に仕える騎士として迎えねばらないのです」
「・・・そうか。詰りあれですね・・・じ、叙任式!」
「その通りです。その叙任式の日程もまた会議にて決定致しました」
「何時です?」
「9日後、澄明の月が昇る日です」

 一つ考えて慧卓は理解する。即ち叙任式は満月が昇る日、今月の中旬頃に執り行う予定なのだ。欠けたる事の無い満月の下に行う儀式はさぞや神聖な意味合いを持っているに違いない。

「きっと、その日からてんやわんやの連続ですよ。それこそクマ様の力量や影響力を知らない内に何処かへ飛ばされるとか、そんな事も考えられますって。知っておくなら、この数日間しか無いんです」

 トニアはそう言葉を紡ぎながら、官位の授与の後に遠方へと飛ばされた友人を思い起こす。更なる栄達への一つの歩みとして定着しつつある遠方任務。普通は経験豊かで優秀なる人物がこれを従事するのだが、慧卓の場合は体力的にも知
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ