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王道を走れば:幻想にて
第三章、その3の2:前に一歩 ※エロ注意
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のタイミングをずらし、其処から直ぐに突きへと移行する。剣の動きが急変した事に相手は戸惑い、足捌きを乱して眼前のそれを避けた。熊美は一気に詰め寄って相手の甲冑の襟元を掴み取ると、怒声を放ちながら重装のそれを背負った。

「腰に力を籠め過ぎだっ、馬鹿者!!」
「っっぁあいええええっ!?!?」

 間抜けな悲鳴を漏らしながら男は背中から地面に叩きつけられ、周囲の騎士達は歓声を漏らした。見事な一本背負いである。100キロを優に越えているであろう相手を簡単に投げ飛ばす芸当はこの者にしか出来ないだろう。

「おぉー、流石熊美さんだ。無双乱舞格好いいなぁ」
「やられる側としては堪ったもんじゃないですな」

 更に盛り上がる剣戟の光景を少し離れた所にある指揮台から見下ろすのは、両手に肉刺を作った慧卓と、暇を持て余した赤髪サイドポニーの近衛騎士、トニアである。王国軍の訓練広場で繰り広げられる猛烈な訓練風景を、二人は割と愉しんで見詰めていた。

「今熊美さんにボコられている聖鐘騎士団、前身が黒衛騎士団だけあって錬度は王国一なんですよね?」
「そうですとも。王国に存在する兵団の中では近衛騎士団と二分して臣民から信望を集め、その武の髄を極めている・・・筈です」
「・・・筈」
「だって目の前であんなの見せられればねー」

 からっとした投げ遣りな声が向かう先で、更に二人の騎士が続けざまに打ち倒された。一人は連撃を打ち込む最中に放たれた鉄拳の前に沈んで、もう一人は槍を使っているにも関わらずそれを踏ん付けられた挙句詰め寄られて敏捷なる大外狩りを極められる有様だ。此処までの訓練の間に熊美が負った傷は、頬の掠り傷一つだけである。

「どうしたっ!!臆する事は無いっ!!豪刃の羆だとか、武の化身だとか、そういう異名に恐れ戦く必要は無い!!お前達勇敢なる王国騎士が相対するはこのクマミ=ヤガシラ、唯一人の人間だ!!!その果敢ある武をもって我を支配してみせよ!!!」
『おおおおおおっっ!!!!!』

 つんざめく騎士達の咆哮は最早一種の犠牲心すら感じさせる無情な叫びであった。鎧ががしゃがしゃと鳴り響いて一点に向かって集中し、即座にそれを上回る速度で男達の悲鳴と熊美の雄叫びが木霊し合う。豪刃の羆の武は劣る事を知らないようだ。混沌とした広場の情景に慧卓は呆れの篭った息しか漏らせず、トニアもまた二又となっている眉の先を小さな八の字にしてしまう。

「知ってます?あれであの人五十代前半のオカマなんですよ」
「本当に?人って時々、老齢だろうが骸骨だろうがとてつもない力を発揮するのね・・・オカマでも。いや、オカマだからこそなのかな?全く、ある意味度し難いです」
「度し難いのはお前だ、トニア」
「あら、姉上」

 指揮台に向かって近寄ってきたのはジト目が似合
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