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王道を走れば:幻想にて
第三章、その3の1:遠因の発生
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の平等の存在になる。・・・そんなものです」

 戸惑いを覚えながら慧卓は応える。ゲーム如き、読書如きで培った知識を統合して放った言葉は悲しきかな、アリッサに苛立ちを沸かすに相違ない弱気でおぼろげな声色であった。

「ケイタク殿、私から言わせればその応えは半分以上は正鵠を射ている。確かに、戦いに赴く人達はそれぞれ重い覚悟を背負っているだろう。故郷や家で待っている家族の為、友人の為、国の為、そして何より自分自身の為だ。財貨に目も眩む者も居るだろう。だが彼らとて、己の命を散らす決意で戦いに臨み、貪欲に勝利を、己の生存を望んでいる。皆が皆、戦いの中では平等だ。覚悟の差異など其処では推し量れん」

 熱のある口上に慧卓は閉口して思わず剣を下ろし、その一言一言を静聴する。とても口を挟めるような雰囲気ではなかった。

「そして戦いは熾烈を極めるものだ。命や家や名誉、そして時には国家の興亡が掛かっているのだからな、必死になるさ。相手を殺さなければ自分が死ぬ。だからこそ皆が皆、相手の死を希求するのだ、手段を問わずして。その情景は・・・酷いものだ。
 貴方は戦に関してはとても現実的だ、ケイタク殿。もし実戦が起こって誰かが死んだり殺されても、心の何処かでは冷静さを保てる、そんな才があるに違いない。だがな、ケイタク殿、これだけは言っておくぞ・・・」

 慧卓の肩をがっしりと掴むアリッサ。思いの外強く込められていた力に一瞬慧卓は痛みを覚えてしまう。が、苦痛の声を漏らす事をアリッサの燃える瞳と、そして情が入った声が許さない。積年の思い出を想起して、それを何処か後悔するかのように言葉は続けられる。

「予定調和な戦いがあるものかっ・・・戦いとは偶発的で、それであるがゆえに、戦局の行方など誰にも予想できないものだ・・・。
 何が起こるかなど、誰が死ぬかなど、そんなものっ、人間に見通せる筈が無い!だから聞きなさい、ケイタク!常より全てに備えておきなさい!最悪の事態を常に予想して動くの!さもなければ貴方が慕う、貴方を慕う全てを失くすわ・・・いい?」
「は、はい・・・」

 言葉の冷徹さが消え去り、騎士としてではなく、一人の女性としてアリッサは警告を顕にする。慧卓は勢いに押されて思わず瞠目しながら首肯した。
 その言葉の真意を理解できたか確認を取る事無く、アリッサは常の冷静さを徐々に取り戻し始めた。慧卓を諭す心算が、どうも己が思う所を刺激してしまったようだ。気まずげになりながらも彼女は鍛錬を続けようとする。

「感傷的になって、すまない。鍛錬を再開しよう・・・察するにケイタク殿は武具の振りが些か拙い。というよりも、身体がそれについて来ない。これで間違いなかろう」
「鍛錬に鍛錬を積めば何れは出来るようになりますって」
「なるだろうが、私の域に達するまで軽
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