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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第333話】
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――学生寮屋上――


 階段をかけ上がり、勢いそのままドアノブを回してドアを開ける。

 まだ新しいのか、メンテナンスが行き届いてるのか不快な音は一切立てずに、開いたドアから屋上へと出る。

 既に日は落ち、学生寮屋上からは街の灯りが綺麗に映り、IS学園周囲を遊覧する客船も、既に灯りが点されていて、綺麗に彩っていた。

 開いたドアの音に気がついたシャルが此方に振り向く。


「あ……ヒルト」

「おっす。 待たせたか?」

「う、ううん。 ……えへへ、待つのも楽しいから僕は嫌いじゃないよ?」


 振り向いたシャルを照らす月明かり――鮮やかな金色の髪は、時折吹く風に小さく靡かせていた。

 それと同時に、彼女の短いスカートを捲れ上がりそうになり、慌ててシャルは手で押さえつつ俺を見ながら――。


「……ヒルトのえっち……」


 ――風の悪戯で仮にシャルのパンツが見えても、どうやら俺はえっちと呼ばれてしまうようだ。


「……短いスカート穿くからだろ?」

「そ、そうだけど……。 うぅ……ヒルトのバカ……」


 正論を言うと、罰が悪そうに視線を逸らし、頬を朱に染めながら俺をバカというシャル。

 ――こういう仕草も、彼女の魅力の一つなのかもしれない。

 隣へと移動し、柵に手を起き身を乗り出すように海を眺める。


「シャル、寒くないか?」

「ふぇ? ぼ、僕なら大丈――くしゅんっ……!」


 小さくくしゃみをしたシャル。

 それを見ていると、恥ずかしそうに視線を海へと向けた。


「寒いんだろ? ほら、俺の制服の上着でいいなら貸すから」


 そう言って制服の上着を脱ぐ――シャルはその行為に目をぱちくりさせるも――。


「ぼ、僕なら大丈夫だよ!? ほ、ほら、ヒルトの方が寒くて風邪引いちゃうよ!?」


 遠慮するように両手をぶんぶんと振るシャル――だが。


「別に俺なら大丈夫だって、ほら。 少しは温いぞ?」


 半ば強制的に俺の制服の上着を羽織らせる。

 少し俯くシャルだが、キュッと自分の身を抱くようしながら顔をあげると――。


「あ、ありがとう、ヒルト……えへへ……」


 はにかみ、羽織った俺の制服をちゃんと羽織直すシャル。


「んで、話って何だ?」

「え? ……んっと、実は話ってよりも……ちょっと一緒に居たいなって思ったんだ。 ……あ、迷惑……だった?」

「ん? ……別に迷惑じゃないさ。 まあこの後部屋に楯無さんと鈴音が一夏に用事があるらしいから戻らないといけないけどな、これが」

「そ、そっか。 ……じゃあ、それまでは僕にヒルトの時間、くれる?」



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