第五十二話 思春期E
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は内心、肝を冷やしていた。考えなしに、ムカついたから行動してしまった。店の前で当り散らす訳にもいかないため、公園に移動したが、ここからどうしよう。とりあえず、顔には出さないようにしよう、とプライドだけは総動員していた。
「……は? 妹って、あいつと?」
「まぁ、うん。……俺が、全体的に悪いんだろうけどさ」
苦笑、のようなものがアルヴィンの口元に浮かんだ。その様子を見て、エイカは狼狽していた心を抑える。彼の言葉に、「冗談」と茶化して笑ったり、「そうだろうな」と適当な相槌をすれば、そこで話は終わると直感したからだ。
エイカは自分が、誰かを助けたり、救ったりできる……できた人間だとは思っていない。そんな役目は、もっとふさわしい人間がいるはずだ。ちきゅうやの店主の奥さんは人格者だから、押し付けたっていい。店主もあれはあれで、一応頼っていい大人だろう。ちきゅうやに来る客の中には、人生経験が豊富な者だっている。
そこまで考えたのに、エイカはこの場を放棄することができなかった。役不足なことは十分理解しながらも、それでも許せなかったからだ。先ほどからずっと、彼女の中にある怒り。何故これほどまでに、苛立つのかはわかっていない。それでも、それがエイカにとってたった1つの答え。
いつもへらへら笑っているこいつは、当然ムカつく。だけどそれ以上に、笑っていないこいつが、なんかよくわからないけど何よりも一番腹が立つ! アルヴィンにとってみれば、理不尽すぎる理由だった。
「……エイカ?」
「5分待て」
突然ベンチから立ち上がったエイカに、アルヴィンは目を瞬かせる。自分も立ち上がるべきかと、少し腰を浮かせると、人差し指を真っ直ぐに向けられ、言い放たれた。それに、つい自分も人差し指を伸ばし、「E.T. ごっこー」とアホなことをして頭を叩かれながらも、大人しく待つことにした。ちなみに彼は、無意識にやっていた。
エイカが帰ってくるのに、実際は3分もかからなかった。彼女の手の中には、何か袋のようなものが抱えられている。少し時間を置いたからか、目に見えるほどだった怒りはすでに鳴りを潜めている。エイカはアルヴィンの目の前まで来ると、逡巡しながらも、2つあった袋の内の1つを無理矢理握らせた。
「てめぇは、『こしあん』でよかったんだよな」
「えっ、……たい焼き?」
「この俺がわざわざ、買ってきてやったやつだ。だから、辛気臭い顔で食いやがったら、はっ倒すからな!」
ほかほかとした出来立てのおやつ。エイカはアルヴィンに手渡すと、再びベンチへ乱暴に座った。自身の手に持つ『つぶあん』のたいやきに齧りつき、おいしさに緩みそうになった頬を慌てて引き締めながら、黙々と食べ始めた。
一連のエイカの行動に、アルヴィンは全くついてい
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