第六話 水と氷その十二
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「有り難う、お陰で攻められたわ」
「これでよかったんだな」
「完璧よ、私達は勝ったわ」
「氷を怪人の中に注ぎ込んだんだな」
「正確に言うと冷気をね」
氷の中にあるそれをだというのだ。
「注ぎ込んだわ」
「蛇は爬虫類だからな」
「冷気には弱いわ」
このことを見抜いての攻撃だったというのである。
「だからこうしたのよ」
「成程ね」
「そういうことよ。残念だったわね」
「無念だ」
今度は怪人が菖蒲に言ってきた。断末魔の顔であるが言葉は冷静なままだ。
「まさかそうしてくるとはな」
「意外だったかしら」
「貴様等の力は警戒していた」
怪人にしてもだというのだ。
「しかし鞭を焼きそれで我を怒らせ」
「そうよ、私への鞭を薊さんに向けさせてね」
「我に隙を作らせてか」
「こうして攻めたのよ」
まさにそうしたというのだ。
「それが正解だったわね」
「その通りだな、では我は去ろう」
「灰は貰うわ」
「好きにしろ」
死んで残る骸はというのだ。
「我は敗れた、敗れたのならな」
「勝者に任せるというのだ」
「それが摂理だ、だからだ」
それ故にというのだ。
「我の骸は好きにするのだ」
「ではそうさせてもらうわ」
「二人か、今は」
怪人は菖蒲に述べた後でこうも言った。
「後はな」
「!?後は?」
薊が怪人の言葉に最初に気付いた、それで問い返した。
「何だよ、一体」
「すぐにわかることだ」
これが怪人の言葉だった、菖蒲の剣に腹を貫かれ冷気を注ぎ込まれたままだった怪人はその身体を灰にしてだった。
灰になった、薊はすぐに前に出てその灰を一握り掴み取った、そのうえで菖蒲に顔を向けてこう言った。
「これでいいよな」
「ええ、ではその灰をね」
「先輩のところに持って行けばいいな」
「それで何かがわかるかも知れないわ」
「知れない、かよ」
「何もわからない可能性もあるわ」
二人にとって望ましくないケースだがそれもまた、というのだ。
「その場合もね」
「どうなるかわからないってことか」
「そうよ」
まさにそれが為だというのだ。
「調べてもわからないことも有り得るわ」
「何でもわかるってことでもないか」
「若し調べてそれでいつもわかれば」
「世の中苦労しないか」
「謎というものは存在しなくなるわ」
「そういうものか、じゃあな」
「とりあえず灰は手に入れたわ」
それはというのだ。
「手掛かりはね」
「少なくとも最低限のものは手に入れたんだな」
「ええ、そうよ」
そうなったことは確かだというのだ。
「幸いね」
「それだけでもいいか」
「少なくとも何も手に入れないよりはね」
遥かにいいというのだ。
「今回の闘いの目的は達したわ」
「上出来
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