第六話 水と氷その十一
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「この通りね」
「本当に何もなさそうだな」
「どういうことかしらね」
鋭い目になって言う菖蒲だった。
「このことは」
「力と関係あるのかね」
「そうかも知れないわね、けれどね」
「今はな」
「ああ、早いところこいつを倒さないとな」
「蛇よ」
ここでまた言った菖蒲だった。
「蛇だからね」
「蛇?」
「そう、蛇なら」
それならと言ってだ、そのうえで。
菖蒲は薊にだ、こう言ったのだった。
「一つお願いがあるけれどいいかしら」
「金以外ならな」
つまり受けるというのだ。
「いいぜ」
「そう、なら大丈夫ね」
「それでどういったお願いだよ」
「引きつけてくれるかしら」
薊にこう言うのだった。
「今はね」
「こいつの注意をか」
「ええ、出来るかしら」
「ちょっとな、片手相手でも精一杯だけれどな」
怪人はそれぞれの目で二人を見てそれぞれの手に持っている二本の鞭で闘っている。薊も菖蒲もその片目と片手だけで相手をされている状況だ。
それで薊はこう言った、だがだった。
「菖蒲ちゃんに考えがあるんだな」
「だから言うのよ」
それ故にという返答だった。
「ここでね」
「だよな、それじゃあな」
「お願い出来るかしら」
「まずはやってみるってな」
薊はにやりと笑って菖蒲に答えた。
「あたしの信条だよ」
「実行ね」
「走りながら考えるんだよ」
薊はこうも言った。
「動くことが第一なんだよ」
「では今も」
「ああ、やらせてもらうな」
「お願いするわ」
菖蒲もまた二本の鞭をその剣で防ぎつつ薊に言葉を返した。その薊は七節棍を構えてそのうえでだった。
棒に炎を宿らせた、そして。
まずは怪人の左手の鞭のうちの一本にそれを伸ばして飛ばした、そうして。
棒でその鞭を絡め取った、その炎でだった。
鞭を焼く、鞭は鱗から焼けていき肉が焼ける音と匂いを放ちながら燃えていった。こうしてまずは一本を焼き。
続いてだった、二本目は。
来たところを棒で受け止めた、受けられながらもしなる鞭は薊の顔を狙ってきた。しかしその迫る鞭にだった。
薊は棒から炎を伝えた、受け止めたその棒にも炎が宿っていたのだ。鞭は動く途中で燃え上がり薊の目の前で焼け落ちた。
一瞬のうちに怪人の左手の鞭が消え去った、また出せたが。
怪人は鞭を焼かれたことに怒りを覚えたのかこれまで菖蒲の相手をしていた右手の鞭を薊に向けた、ここで菖蒲は自由になった。
ここでだ、菖蒲は。
あらためて構えを取った、そして。
その剣に氷を込めた、その氷を込めた剣を前に出して。
突進し何度も突きを繰り出す、その氷の剣が怪人の身体を幾度も貫き。
最後に腹を深々と突き刺した、そこからだった。
菖蒲は氷の力を
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