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王道を走れば:幻想にて
第三章、その1の2:社交的舞踏会
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でハーレムが流行ったか、理解できそう)

 謀略に身を揺らされるとはいえ、男たる者このような機会は是非にも歓迎すべきである。心地が良くなったか口も滑りやすくなって来た。

「そうですね・・・異界とこの世界に共通する事に、一つ確実に言える事があります」
「それは、どんな事でしょう?」
「傾城の美しき方々を肴に飲む酒は最高、という事です」
「ふふっ。世辞と思えど、とても嬉しいですわ」

 まるでめしべを色付かせるような艶っぽい色気を出してユラが撫で声を出した。背骨に沿って身体を伝う神経が、知らぬうちにぞくっと来てしまう。声すらも利用して心を愉しませるか、そんな風に錯覚してしまうほどだ。 
 会話が更に弾もうとした瞬間、シンシサが目を玉座の方へやって言った。

「あら、ケイタク様、無粋な方がお呼びのようですわよ?」
「?何方でしょうか?」
「冷血の執政長官殿ですわ」
「まぁ・・・御注意下さい、ケイタク様。あの者は人と蚊の区別がつかぬ男。加減抜きで、貴方を害するやもしれない・・・」

 オレリアが真っ先に言葉を掛けて、慧卓の左手を己の両手の中に包み込んだ。他の二つの華の視線の中、慧卓は彼女の両手に右手を乗せた。

「御心配有難う御座います、オレリア様。貴方の思いがあれば、私は冷酷な雷雨の中であろうと、確りと地に足を着けて立っていられる。執政長官殿との対談一つで臆するほど、私は弱くはありませんよ」
「ケイタク様・・・」

 喜色を浮かべて微笑んでくれる彼女を、ユラとシンシアは俄かに瞳孔を細めて見遣る。慧卓は肝を冷やして彼女らにも声を掛けた。

「勿論、貴方々とも杯を交わせたのは誠に喜ばしい事でした、ユラ様、シンシア様。また何れ、機会があれば必ずや共に宴を開きましょう。もっと長く、暖かな場所で星々の美しさを愉しめるくらいに」
「えぇ、期待してお待ちしておりますわ、ケイタク様」
「これからの御武運を我等三人、純真にお祈り致しております。貴方に、主神の御加護がありますよう」
「有難う御座います・・・皆様との会談、とても愉しきものでありました。では、失礼」

 礼を交わしてさっと背を向ける慧卓。やけに煩く聞こえるリュートの弦音が冷汗が伝う背中を慰めてくれた。一瞬でも見てしまった高領の華の冷めた視線がやけに威圧的で弱ったのだ。
 三つの美麗な華が心配げに見詰めくれるのを感じながら、慧卓は玉座の近くにて唯独り孤立していたレイモンドへと近寄った。寒々とした藍の瞳は、今宵に限り俄かに温情を湛えているように見える。
 ちなみに国王は既に玉座から離れて奥の部屋へと戻ってしまった。音頭さえ取れればそれで良かったらしい。

「如何かな、ケイタク殿よ。あの娘等は大層な美人であろう?」
「ええ・・・正直、胸が弾みっぱなしで落ち着
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