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王道を走れば:幻想にて
第三章、その1の2:社交的舞踏会
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は果汁のジュースでも一杯」
「俺も付き合おう」

 その光景はまるで御伽噺のようであり、定型からはみ出さぬオペラのよう。直向で邪な思いが無い分、飽和にも似た甘さが感じられ、踊りに興味を持たぬ者はずいずいと杯を煽っていく。
 一部では、踊りに興味を持ちつつもそれが出来ぬ哀れな者も居るようであるが。

「・・・いいなぁ、コーデリア様」
「御姉様、続きを聞かせてくださいませ!」
「そうです!踊りも音楽も素晴らしいですが、私共は今、御姉様しか見えていないのですから!」
「わ、分かったから!そう騒ぎ立てるな!!」

 黄色き悲鳴が再び木霊し、白き王の宴場に右往左往と響き渡った。かつかつ鳴り止まぬ大理石の演奏に、詩人は更に機嫌良くリュートの弦をぽろぽろと弾いていく。白壁に寄り掛かって葡萄酒を啜るレイモンドの瞳には、普段人には見せぬ、小さな羨望の情が沸いていた。
 

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