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王道を走れば:幻想にて
第三章、その1の2:社交的舞踏会
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二組となって多くの者達が進んでいき、互いの腰を抱いて音色に合わせて軽やかに足を運んでいく。

「・・・粋な事をするな。あの人も」
「これは・・・舞踏ですか?そんな・・・此の服、まだ慣れていないのにっ」

 焦燥を覚える彼女を抑えるように、慧卓はその華奢な腰を右手で優しく引き寄せる。途端に接近した琥珀の愛らしき瞳は驚き、そして照れるような色で瞬きをした。  

「っ、ケイタク様?」
「踊りましょう、コーデリア様」
「そっ、それは凄く嬉しいのですが・・・踊れるのですか?」
「え、えっとぉ、実はちょっと自信が無かったり・・・でもあの踊りなら、昔学校でやった事があるから・・・」

 見るからにその踊り、宮廷舞踏会であるようなボールルームダンスそのものである。社交界にて必須なものとして大成されたそれは、幸運な事に慧卓の学校ではフォークダンスとして幾度かやった事があったのだ。錬度は全くといって良いほど良いものではないが。
 内心の窮が判り易かったのか、コーデリアは小さく嘆息した。

「もぉ、貴方って人は何時も何時も猪突猛進なんだから・・・それで今までどのくらいの人が困り、呆れてきたと思っているんですか?」
「うぐ・・・」
「・・・けど、有難う御座います。ちょっと、緊張が解れてきました」

 曇りの無い笑みを見せ、コーデリアは慧卓の腰を左手でぐっと引き寄せる。更に近付く絶世の美貌にどぎまぎとしながらも慧卓はなんとか相手の腰を抱き、空いた左手でコーデリアの右手を優しく包み込むように握った。

「さぁ、踊りましょう。私がリード致します」
「はい、宜しくお願いします」

 二人は笑みを交わし、耳を和らげる美しき音色の下に足を運んでいく。かつかつと広間中に大理石を叩く音が響くのが難ではあるが、優美な姿で密着してくれるコーデリアが居るだけで、ましてや彼女と拙きものではあるが舞踊を出来る名誉に預かるとなれば、慧卓はそれだけで胸が幸福で満ち満ちていくのを感じた。コーデリアもまた、ペースを乱さぬようにしながらも足を合わせて踊ってくれる慧卓に喜びと和みを感じ、自然と笑みを零してしまう。

「愉しげだな、あの方々は」
「えぇ・・・私も昔は、あんな感じで踊りをしていたような気がしますわ・・・誰と一緒にかも、もしかしたら忘れてしまったかもしれません」
「それならば、僭越ながら私がその美しき記憶を思い出させてあげよう」
「お願いしますわ、旦那様」

 広間の中央にくるくると胡桃を割る人形のように踊る二人に釣れられるように、年嵩重ねた男達が物言う花を連れて舞踊の輪を広げていく。

「ふん。純情な奴らだ。見てるこっちが胸焼けしてくる」
「全くよ・・・口直しに酒が欲しくなるわ」
「お前は絶対に飲むな!!」
「分かってる分かってる。で
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