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王道を走れば:幻想にて
第二章、終幕:初旅の終わり ※エロ注意
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もです・・・御奉仕、有難う御座いました」
「ふふ、私こそ御礼を述べさせて下さい。有難う御座いました、ケイタク様・・・意外と乱暴で、少し驚いてしまいましたけど」
「うっ・・・すいません」
「ふふ、お気になさらずに。さぁ、湯冷めしないうちに上がりましょう」
「はい」

 快楽の後味を味わうもいいが流石に長湯は上せてしまうし、何より熊美達に変な勘繰りをさせてしまう。
 慧卓とリサは汗を一度湯で流してしまうと、そそくさと湯船から上がっていった。行為が激しかっただけに湯もまた暴れてしまったが、幸運にも風呂場に持ち込んだタオルは余り水を吸っていない。
 
「ふふ・・・」

 最早その美顔に氷のような印象を受ける事は無い。口端を淡く歪めて慧卓の身体を拭いていく様は、まるで奥ゆかしくも確りとした良き妻のようである。その妻帯者のような誇らしげな気持ちを抱くまでに、慧卓は心に満足を覚えていた。それを見てリタはくすくすと笑みを零して彼の身体を、特に肢体の間を重点的に水気を拭いていった。
 別れ際に熱き視線を交わし会って後、慧卓は身支度を済ませて脱衣所の会談を上り、扉を開けて外気に触れた。湯上りの身体を微温湯のような夕暮れの風が、紅の陽射と共に慧卓を覆っていった。
 待つ事一分ほど、隣の扉がゆるりと開く。別れた時以上に晴れ晴れとして、生肌を光らせた熊美が其処に現れた。

「良い湯だったわねっ、慧卓!」
「・・・・・・なんか、肌艶々してません?」
「うふふふっ、おませねぇ、慧卓君。私は何時も通りよ・・・うふふふふふっ」

 すこぶる気分が良いだけにその笑みが薄気味悪い。慧卓は疑問に思う。一体この御仁に何があったのか。風呂場で何が待ち構えていたのか。この人はそれに、どのような行為に及んでしまったのか。

(聞かないでおこう・・・)

 快楽の後味を悪くさせるような野暮な地雷は踏みたくない。慧卓は視線をそろりと逸らして、熊美に気取られぬような小さな息を零した。



 
 半分欠けた薄い黄色の月が昇る頃、寝静まった筈の王都の一角にて、からからと車輪が回る音が響いた。ついで聞こえたのは、威厳を纏ったように見えて内実切羽詰った、そんな印象を受けるがさついた男の声であった。

「や、約定を果たしたぞ!予定通りに討伐部隊が帰還した。姫も近衛殿も、そして異界の戦士殿も無事だ!わ、私の私兵が守り通したんだ!」

 その声は王都、厚い内壁に覆われたとある場所から放たれるものだ。内壁から、という事はこの声の主は中々にやんごとなき身分の者なのだろう。それにしては随分と余裕を逸した、まるで禁断症状手前の中毒者のような声である。 
 王都の西部に広がる貴族の邸宅林。宮殿から離れて壁に近い場所に部分、其処に構えられた小さな邸宅の前にて二人の男と、
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