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打球は快音響かせて
高校2年
第二十二話 やっぱり
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だけ起こしてホームに送球した。キャッチャーの宮園が「もうホームは間に合わない」という意味の×のジェスチャーを出しているのが、林には見えていなかった。

キッチリ握り切れていない林の送球は、ツーバウンドになって、既に三塁ランナーが猛然と滑り込んだ後のホームに。そして三塁側に逸れているので、ランナーの影と重なった。

「!!」
「回れ回れーっ!!」

到底間に合わない林のバックホームは宮園が捕球する事もままならず、バックネットへと達する。
逆転のランナーも悠々ホームイン。
この回二つ目のタイムリーエラーで5-6。
遂に海洋に逆転を許してしまった。
三龍応援席からは大きな悲鳴とため息、海洋応援席からは大歓声。暴投を犯した林は、呆然と立ち尽くす。

「…………」

ボールをバックネットまで拾いにいった宮園は愕然とする他ない。とれるアウトを二つも無駄にして、逆転を許してしまった。
海洋相手に、ここまで健闘したというのに。

(……やっぱり最後はこうなるか……)

宮園の表情から、フッと険しさが消え、一気に穏やかな顔になった。

(……だから俺らは、“三龍”なんだよな)

それは宮園の気持ちが切れた事の表れだった。
宮園だけでなく、グランドに居るナイン全員の気持ちが切れた。

四死球が出る。長打が出る。
点が入る。

格下の健闘もこれまで。
強豪の底力に呑み込まれていった。









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